SNSやブログで「これを貼るだけでChatGPTが激変する」といった「最強のカスタム指示」がよく配布されています。コピペする前に、その中身がOpenAI公式の言っていることと合っているのか、気になったことはないでしょうか。
この記事は、OpenAI公式ヘルプ・公式ブログ・Model Specの記載だけを根拠に、配布テンプレの典型8要素を「筋が通る」「根拠が確認できない」「逆効果になりうる」に仕分けます。当社独自の実測データはなく、効果を試した体験談ではなく公式の記載と照らした仕分けです(確認日:2026年8月25日)。
この記事でわかること
- 配布テンプレの典型8要素を、公式の記載と照らして仕分けた判定表(筋が通る3・直せば使える1・根拠が確認できない2・逆効果になりうる2)
- カスタム指示の公式仕様(文字数上限・適用範囲・メモリとの違い)を出典つきで確認
- 自分の状況に合わせてカスタム指示を組み立てる手順3ステップ
結論:「最強のカスタム指示」は存在しない|効く要素と根拠のない要素が混ざっている

配布されている「最強テンプレ」を要素ごとに分解すると、公式の原則に沿っている要素と、公式のどこにも記載が見当たらない要素が混在しています。全部をコピペする必要もなければ、全部を捨てる必要もありません。
| 疑問 | 答え |
|---|---|
| 配布テンプレは全部コピペしていい? | いいえ。8要素のうち公式の原則に沿うと言えるのは一部で、根拠が確認できないものや逆効果になりうるものも混ざっています(本記事の判定表を参照) |
| どの要素が一番危ない? | 「絶対に嘘をつくな」型の禁止命令です。嘘をつかないことは既にモデルの既定ルールで、公式のプロンプト原則は禁止よりも代わりの行動を書くことを勧めています |
| 何を基準に判断すればいい? | 効果をうたう宣伝文句ではなく、OpenAI公式ヘルプ・公式ブログ・Model Specに書かれている仕様と原則だけです |
カスタム指示とは|公式仕様を3分で
カスタム指示とは、ChatGPTが応答を作るときに考慮してほしい内容をあらかじめ登録できる公式機能です(OpenAIヘルプ「ChatGPT Custom Instructions」・確認日2026年8月25日)。全プランで使え、設定のパーソナライズ画面から有効化して入力します。
公式ヘルプが明記している仕様は次のとおりです。
| 項目 | 公式の記載 |
|---|---|
| 対応プラン | 全プラン対応 |
| 文字数の上限 | Free・Goプランは1,500字まで、Plus・Pro・Enterprise・Business・Educationプランは5,000字まで保存できます |
| 適用範囲 | 更新すると既存の会話を含む全チャットに即時適用されます。ただし過去ログの表示自体は変わらず、反映はその後の応答からです |
| 効き方の限界 | 公式は発表当初から、必ずしも完璧には解釈せず、見落とすことも意図しない場面で適用することもあると明言しています(当サイト訳) |
| APIとの関係 | 相当するAPI機能はなく、API側はシステムメッセージで同様の効果を出す設計です |
設定欄の細かい構成はOpenAIの改訂で変わることがあるため、本記事では「設定画面のカスタム指示欄」という一般的な言い方で扱い、欄の数や名称は断定しません。
無料版と有料版でどこまで機能が変わるかの全体像は、ChatGPT無料版と有料版の違い|差が出る3か所とプランの選び方で整理しています。
メモリとの違い|「自分で書く指示」と「勝手に覚える記憶」
カスタム指示とメモリは似た働きをしますが、公式は管理者の違いで線引きしています。OpenAIヘルプ「Memory FAQ」(確認日2026年8月25日)によると、明示的に指示したい内容はカスタム指示に書き、会話の中で共有した情報はChatGPTが自動で関連する詳細を覚えます。保存されたメモリは似た働きをしますが、モデルが自動で更新する点が違います。
| 機能 | 誰が書くか | 設定場所 |
|---|---|---|
| カスタム指示 | 読者が自分で明示的に書く | 設定>パーソナライズ |
| メモリ | 会話の内容からChatGPTが自動で更新する | 設定>パーソナライズ>メモリ |
一時チャットはメモリを使いません。また応答下のアイコンから、その回答にカスタム指示・過去チャット・ファイル・メモリのどれが使われたか確認できます。メモリが上限に達したときの対処は「メモリがいっぱいです」と出たときにどうするかで扱っています。
公式が言う「効くプロンプト」の原則5つ
OpenAIヘルプ「Prompt engineering best practices for ChatGPT」と、ChatGPTにも当てはまると公式が明言する「Best practices for prompt engineering with the OpenAI API」(確認日2026年8月25日)の原則を、カスタム指示への当てはめ方とあわせて整理します。
| 公式の原則 | 内容 | カスタム指示での実践 |
|---|---|---|
| ①具体的に書く | 曖昧さを避け、十分な文脈を与える | 「わかりやすく」ではなく、自分の職業や前提を具体的に書く |
| ②指示と資料を分ける | 指示は先頭に置き、区切り記号で資料と分ける | カスタム指示欄には指示だけを書き、長い資料を貼り付けない |
| ③形式は例で見せる | 欲しい出力形式を実例で示す | 「箇条書きで」ではなく、望む見出しの立て方を短く例示する |
| ④曖昧な形容を数字にする | 「短めに」ではなく「3〜5文で」のように数字で指定する | 長さ・個数の希望は数字で書く |
| ⑤禁止でなく代替行動を言う | してはいけないことだけでなく、代わりに何をすべきかを言う | 「専門用語を使うな」ではなく「専門用語は使ったあとに一言で言い換える」と書く |
この原則で組み立てたプロンプト例は仕事で使えるChatGPTプロンプト10選でまとめています。
配布テンプレの典型8要素を仕分ける【判定表】
配布テンプレの文面をそのまま引用すると著作権の問題になりうるため、本記事では要素を「型」として抽象化して扱います。特定サイト・配布者への批判ではありません。
複数の配布テンプレに共通して出てくる要素を8つに整理し、公式の記載と照らして仕分けました。
| 要素 | よく言われる効果 | 公式の記載 | 判定 | どう直すか |
|---|---|---|---|---|
| ①「あなたは世界一の◯◯です」型の役割付与 | 専門的で精度の高い回答になる | 公式の例は「小学3年の理科を教えている教師」のように自分の状況を渡す用途。誇張した肩書きの効果を示す記載はない | 部分的に筋が通る | 誇張ではなく自分の職業・専門分野など事実を書く |
| ②「絶対に嘘をつくな」型の禁止命令 | ハルシネーションが減る | 嘘をつかないことは既にモデルの既定ルール。公式のプロンプト原則は「禁止でなく代替行動を書け」 | 根拠が確認できない〜逆効果になりうる | 「不確実なときは『わからない』と言う」のように行動を指定する |
| ③結論から書け・社交辞令は省け等の文体・トーン指定 | 読みやすい回答になる | トーンは形容詞で指定するよう公式が明言。「どう応答してほしいか」の想定用途そのもの | 筋が通る | そのまま使ってよい |
| ④出力形式の指定(箇条書き・表・手順) | 見やすい回答になる | 「形式は例で見せる」という公式原則に合致 | 筋が通る | 常時かかる点に注意。雑談にも適用したくないなら都度の指示に留める |
| ⑤「短めに」等の曖昧な長さ指定 | ちょうど良い長さになる | 公式は数字で指定するよう勧めている | 直せば筋が通る | 「短めに」を「3〜5文で」のように数字に置き換える |
| ⑥事実と推測を分けろ・不確実なら不確実と言えという指定 | 誤情報が減る | Model Specの「不確実性を表明する」という方向性と一致 | 筋が通る | そのまま使ってよい。ただし公式も完全には従わないことがあると明言している |
| ⑦長大な万能テンプレの全部盛り貼り付け | あらゆる場面に対応できる | 文字数上限(Free・Go1,500字/有料5,000字)という制約があり、指示を見落とすことがあると公式が明言 | 逆効果になりうる | 実際に毎回繰り返している前提だけに絞る |
| ⑧英語で書けば精度が上がるという指定 | 回答の精度が上がる | 探した範囲(複数の公式ヘルプ記事)に記載を見つけられなかった | 根拠が確認できない | 英語が有利という公式記載が見つからない以上、無理に英訳する理由はない |
「長い指示ほど効果が薄れる」という話もよく見かけますが、公式の記載としては見つけられませんでした。書けるのは「文字数に上限がある」ことと「指示を見落とすことがあると公式が明言している」ことまでです。
「絶対に嘘をつくな」と書けば嘘は止まるのか
配布テンプレでもっとも目立つ要素なので、単独で確認します。OpenAI「Why language models hallucinate」(2025年9月5日・確認日2026年8月25日)は、原因を訓練と評価の仕組みだと説明しています。不確実さを認めるより、それらしく言い切るほうが評価で報われやすい設計になっている、という趣旨です。つまり「言うことを聞いていない」から起きているのではなく、禁止命令を重ねて書いても原因は消えません。
加えて、OpenAI「Model Spec」(2026年8月18日版・確認日2026年8月25日)には、上位の指示で明示的に指示されない限り利用者や開発者を誤解させてはならないという趣旨のルール(原文「Do not lie」の項)が既定として既に置かれています。カスタム指示で改めて書いても新しい情報にはなりません。
ここまでの要点
- ハルシネーションの原因は訓練・評価の仕組みであり、指示を聞かないからではありません
- 「嘘をつくな」はモデルの既定ルールと重複しており、新しい効果は見込みにくいです
- 公式のプロンプト原則に沿うなら、有効なのは「不確実なときは不確実と言う」という行動の指定です
ハルシネーションの仕組みや、具体的にどう言えば申告させやすいかは、ChatGPTハルシネーション対策|公式が言う原因と機能で減らす方法で詳しく扱っています。
自分用に組み立てる手順3ステップ
ここまでの原則を踏まえて、配布テンプレをそのまま貼るのではなく、自分用に組み立てる手順を示します。
ステップ1|毎回繰り返している前提を洗い出す
公式の例のように「毎回言い添えている前提」を探します。自分の職業、よく使う言語や形式、繰り返し伝えている好みなどです。
ステップ2|公式原則に沿って書く
具体的に・指示と資料を分けて・形式は例で・数字で・禁止でなく代替行動で、の5原則(前章)に沿って文章にします。誇張した役割設定や「絶対に」の多用は避けます。
ステップ3|効かないと感じたら症状別に見直す
回答が期待どおりにならないときは、原因がカスタム指示の書き方以外(その場の指示・この会話・モデル選択など)にあることも多いです。ChatGPTが思い通りに答えてくれない時の直し方7つで症状別に切り分けられます。
書く前のチェックリスト
- 誇張した役割設定ではなく、自分の実際の職業・状況を書いたか
- 禁止命令だけでなく、代わりにしてほしい行動を書いたか
- 「短めに」ではなく具体的な数字で長さを指定したか
- 文字数の上限(Free・Go1,500字/有料5,000字)に収まっているか
よくある質問
カスタム指示の文字数上限は何文字ですか
Free・Goプランは1,500字まで、Plus・Pro・Enterprise・Business・Educationプランは5,000字まで保存できます(OpenAIヘルプ、確認日2026年8月25日)。
過去の会話にも効きますか
設定の更新は、既存の会話を含む全チャットに即時適用されると公式が明記しています。ただし過去の会話ログの表示そのものが変わるわけではなく、反映されるのはその後の応答からです。
メモリとどちらに書くべきですか
明示的に指示したい内容はカスタム指示に、会話の中で共有した情報はメモリが自動で覚えるというのが公式の線引きです。メモリの運用はメモリがいっぱいになったときの対処記事で扱っています。
英語で書くと精度が上がりますか
そのような効果を示す公式の記載は、探した範囲(OpenAIヘルプの複数記事)では見当たりませんでした。日本語で書けないという公式の記載も見つけられませんでした。
まとめ
- 配布テンプレは全部有効でも全部無効でもありません。典型8要素を仕分けると、筋が通るもの3・直せば使えるもの1・根拠が確認できないもの2・逆効果になりうるもの2に分かれます
- カスタム指示の文字数上限はFree・Goプランが1,500字、Plus以上の有料プランが5,000字です(出典:OpenAIヘルプ、確認日2026年8月25日)
- 「絶対に嘘をつくな」型の禁止命令は既にモデルの既定ルールと重複しています。公式の原則に沿うのは「不確実なときは不確実と言う」といった行動の指定です
- 設定画面の入力欄の構成や「長い指示・英語で書くと効果が変わる」といった話は、公式に記載を見つけられず本記事では断定していません
- 効かないと感じたら、書き方より先に原因の切り分けを疑うのが近道です
出典
- OpenAIヘルプ「ChatGPT Custom Instructions」(確認日2026年8月25日)
- OpenAI公式ブログ「Custom instructions for ChatGPT」(2023年7月20日・確認日2026年8月25日)
- OpenAIヘルプ「Memory FAQ」(確認日2026年8月25日)
- OpenAIヘルプ「Prompt engineering best practices for ChatGPT」(確認日2026年8月25日)
- OpenAIヘルプ「Best practices for prompt engineering with the OpenAI API」(確認日2026年8月25日)
- OpenAI「Model Spec」(2026年8月18日版・確認日2026年8月25日)
- OpenAI「Why language models hallucinate」(2025年9月5日・確認日2026年8月25日)


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