E資格はG検定の上位資格ではありません。公式ページの「受験資格」欄を読むと、G検定には無い条件が1行だけ書かれています――「JDLA認定プログラムを試験日の過去2年以内に修了していること」。ここで初めて条件に気づき、足が止まる人がいます。
Pythonで機械学習を触り始めたエンジニアや情報系の学生は、E資格に「いま申し込めるか」と「総額いくらか」を先に知りたいはずです。根拠はG検定とE資格を運営するJDLA(一般社団法人日本ディープラーニング協会)の公式ページ・公式FAQ・合格発表のみで、2026年9月7日に確認しました。当社はどちらの試験も受験しておらず、体験談ではなく公式情報の引き写しとして読んでください。
G検定とE資格は上下ではない|「事業活用」と「実装」を分けて見る
この比較表は、G検定とE資格の主な違いを1画面で見比べるためのものです。まず全体像をつかんでから、気になる項目の章に進んでください。
| 項目 | G検定 | E資格 |
|---|---|---|
| 何を測るか | 事業活用する能力や知識(公式概要) | 適切な手法を選択して実装する能力や知識(公式概要) |
| 受験資格 | 制限なし | JDLA認定プログラムを試験日の過去2年以内に修了していること |
| 受験料(税込) | 一般13,200円/学生5,500円(会員価格の表記は見つけられなかった) | 一般33,000円/学生22,000円/会員27,500円 |
| 受験料以外の費用 | 公式ページでは記載を見つけられませんでした(割引あり:再受験半額・AI For Everyone修了30%引。会場試験は割引制度なし) | 認定プログラムの受講料が別途必要(金額はJDLA公式に記載を見つけられなかった) |
| 試験時間・問題数 | オンライン100分/会場120分・145問程度・多肢選択式 | 120分・100問程度・多肢選択式(Pythonなどのコード問題を含む) |
| 受け方 | オンライン(自宅)または会場 | 各地の指定試験会場(ピアソンVUE) |
| 年間回数(2026年) | オンライン6回+会場3回 | 2回 |
| 直近の公表合格率 | 83.08%(2026年第4回・9,241名受験) | 69.17%(2026年第1回・1,317名受験) |
| 合格ライン | 開示していない(公式FAQ) | 公式ページでは記載を見つけられませんでした |
| 合格発表 | 試験の2〜3週間程度でメール | おおよそ3週間後までにメール |
| 有効期限・更新 | 公式ページでは記載を見つけられませんでした | 公式ページでは記載を見つけられませんでした |
表の中で「見つけられませんでした」としている項目は、公式ページに記載が無いと確認したわけではなく、当社が探した範囲で見当たらなかったという意味です。
いちばん大きな違い=受験資格。「認定プログラム修了2年以内」はE資格だけ
受験資格とは、試験に申し込むために満たしておく必要がある条件のことです。G検定は「制限なし」、E資格は「JDLA認定プログラムを試験日の過去2年以内に修了していること」と、公式ページの書き方がはっきり分かれています。
E資格の受験資格を確認する順番(公式FAQをもとに整理)
① JDLA認定プログラムを修了しているか
→ 修了していなければ、まずE資格の受験資格はありません。
② 修了日から試験日まで2年以内か
→ 2年を超えると、公式FAQ「JDLA認定プログラム修了後2年間は受験資格がございます」の対象から外れます。
③ ①②を満たせばE資格に申し込める(G検定への合格は条件に含まれません)
JDLA認定プログラムとは何か
JDLA公式ページによると、認定プログラムは「高等教育機関や民間事業者が提供する教育プログラムで、当協会が別途定める基準およびシラバスを満たすもの」です。「いずれかの認定プログラムの受講を修了すると、E資格の受験が可能になります」ともされています。認定プログラムの一覧はJDLA公式サイトの事業者一覧ページにあります。受講料は公式ページに記載を見つけられませんでした。事業者の件数はこの記事では書きません。興味を持った認定プログラムのページで直接確認してください。
G検定に合格していなくてもE資格は受けられる
JDLA公式FAQには「E資格の受験資格はJDLA認定プログラムの修了のみとなっております。G検定に合格されていない方でも、JDLA認定プログラムを修了していればE資格の受験資格がございます」と明記されています。つまり、G検定→E資格の順番で受ける決まりはありません。G検定を受けずに認定プログラムを修了すれば、そのままE資格に申し込めます。
2年の数え方=修了日から受験日まで。不合格でも2年以内なら再受験できる
公式FAQには「JDLA認定プログラム修了後2年間は受験資格がございますので、修了日から受験日まで2年以内であれば再度E資格試験を受験することができます」とあります。起算点は認定プログラムの修了日で、1回不合格になっても、修了日から2年以内であれば追加の受講なしで再受験できるという読み方になります。
問われる力の違い=「事業活用」と「実装」
問われる力とは、試験が受験者に求めている能力の種類のことです。公式の概要文とシラバスの構成を見比べると、G検定とE資格は同じ「AI資格」でも測っているものが違います。
G検定の公式概要は「ディープラーニングの基礎知識を有し、適切な活用方針を決定して、事業活用する能力や知識を有しているかを検定する」というものです。一方でE資格の公式概要は「ディープラーニングの理論を理解し、適切な手法を選択して実装する能力や知識を有しているかを認定する」となっています。「決定する」と「実装する」という動詞の違いが、そのままシラバスの構成に表れています。
G検定のシラバス10章=法律・倫理・ガバナンスまで入る
| # | G検定シラバスの大分類 |
|---|---|
| 1 | 人工知能とは |
| 2 | 人工知能をめぐる動向 |
| 3 | 機械学習の概要 |
| 4 | ディープラーニングの概要 |
| 5 | ディープラーニングの要素技術 |
| 6 | ディープラーニングの応用例 |
| 7 | AIの社会実装に向けて |
| 8 | AIに必要な数理・統計知識 |
| 9 | AIに関する法律と契約 |
| 10 | AI倫理・AIガバナンス |
10章のうち3章(7章・9章・10章)が「AIの社会実装に向けて」「AIに関する法律と契約」「AI倫理・AIガバナンス」にあてられており、事業でAIをどう扱うかという事業活用寄りの内容が公式シラバスに含まれています。
E資格のシラバス5大分類=数学・深層学習・開発環境。Pythonのコード問題が出る
| # | E資格シラバス(E2026#2〜)の大分類 |
|---|---|
| 1 | 数学的基礎(確率・統計/情報理論) |
| 2 | 深層学習の基礎(順伝播型ネットワーク/最適化/正則化/CNN/RNN/Transformerほか) |
| 3 | 開発・運用環境(エッジコンピューティング/分散処理/アクセラレータ/環境構築) |
| 4 | 機械学習(機械学習の基礎) |
| 5 | 深層学習の応用(画像認識/物体検出/自然言語処理/生成モデル/深層強化学習ほか) |
E資格のシラバスには、G検定にある「法律と契約」「AI倫理・AIガバナンス」にあたる章がありません。かわりに「開発・運用環境」という実装の章があり、公式ページには「ソースコードを含む問題については、Pythonで記述、またはフレームワークを利用した問題を出題します」という注記があります。試験時間120分・多肢選択式100問程度の中に、実際にコードを読む問題が含まれる点が、E資格の実装寄りの性格を裏づけています。
なお、後述する合格発表の分野別得点率にある「応用数学・機械学習・深層学習・開発環境」の4区分は、シラバスの5大分類とは別の結果集計上の区分です。呼び方が違うため混ぜずに書き分けています。
費用・回数・受け方の違い
費用・回数・受け方とは、実際に申し込むときに関わってくる条件のことです。受験料の桁が違うだけでなく、E資格には受験料の外側にもう1つの費用があります。
受験料=13,200円と33,000円。ただしE資格は受講料が別に要る
G検定の受験費用は一般13,200円(税込)・学生5,500円(税込)です。E資格の受験費用は一般33,000円(税込)・学生22,000円(税込)・会員27,500円(税込)で、公式ページの注記には「会員割引のバウチャーを発行致します」とあります。ここでいう「会員」が誰を指すかは、公式ページに記載を見つけられませんでした。
E資格の総額=受験料33,000円(一般)+認定プログラムの受講料(金額はJDLA公式ページに記載を見つけられなかったため、興味を持った事業者のページで確認)。
回数と場所=G検定はオンライン年6回+会場年3回、E資格は会場で年2回
G検定は2026年、オンライン試験を年6回、会場試験を年3回実施すると公式ページに記載されています。9月7日時点で残っているのは、11月6日(金)・7日(土)のオンライン試験(第6回)のみです。E資格は年2回で、2026年は2月(第1回)と8月(第2回)に実施され、9月7日時点ではどちらも終了しています。2027年の日程は、両試験とも公式ページに記載を見つけられませんでした。
G検定の割引(再受験半額・AI For Everyone 30%引)は会場試験には効かない
G検定には、前回受験日から2年以内なら半額(一般6,600円・学生2,750円)になる再受験の割引と、AI For Everyone修了者が30%引き(一般9,240円・学生3,850円)になる割引があります。ただし、これらの割引はオンライン試験欄に記載があるもので、会場試験の欄には「各種割引制度なし」と明記されています。会場でG検定を受ける場合は、割引を前提に費用を見積もらないほうが安全です。E資格の再受験割引については、公式ページに記載を見つけられませんでした。
合格率の見方=83%と69%を「E資格が難しい」とだけ読まない
合格率の見方とは、公表されている数字をどの条件のもとで比べるかということです。直近の公表値だけを並べると、G検定83.08%・E資格69.17%という差になりますが、この2つは受験者の集まり方が違います。
直近の公表合格率
G検定 83.08%(2026年第4回・9,241名受験)
E資格 69.17%(2026年第1回・1,317名受験)――ただしE資格の受験者は全員、JDLA認定プログラムを修了した人だけ。受験した人の条件が違います。
E資格は「認定プログラム修了者だけ」が受けた数字(母集団が違う)
2026年第1回のE資格は1,317名が受験し、911名が合格、合格率69.17%でした。累計合格者は10,838名です。分野別の平均得点率は、応用数学60.48%・機械学習59.91%・深層学習60.74%・開発環境79.46%です。合格者911名のうち、年代別では20代が411名(45.12%)、職種別では研究・開発が286名(31.39%)を占めています。この受験者は全員、認定プログラムをすでに修了した人たちです。E資格の合格率は「誰でも受けた結果」ではなく「認定プログラムという1段階を越えた人たちの結果」であることを踏まえて読む必要があります。
G検定はオンラインと会場で合格率が違う
2026年第3回のG検定は8,305名が受験し、6,843名が合格、合格率82.40%(オンライン85.02%・会場70.29%)でした。第2回は12,027名受験・9,265名合格・合格率77.04%(オンライン78.83%・会場64.83%)です。2026年第3回時点の累計では受験210,520名・合格148,885名で、同じG検定でも受け方によって合格率に10ポイント以上の差があります。なお、G検定は公式FAQで「合格ラインおよび得点については開示しておりません」と明記されている一方、E資格の合格ラインは公式ページに記載を見つけられませんでした。両者は同じ「非公表」でも、公式の書き方が違う点に注意してください。
G検定の合格率を19回分さかのぼって計算し直した記事もあわせてご覧ください。G検定の難易度と合格率19回分の再計算・勉強時間の目安
どちらを受けるか|職種別の答え
職種別の答えとは、読者の立場ごとにどちらの試験を検討すべきかをまとめた結論のことです。ここまでの事実をもとに、3つの立場に分けて答えを置きます。
非エンジニア(営業・企画・管理部門など)=G検定で足りる。E資格は受けなくてよい
E資格の受験資格を得るには認定プログラムの受講が必要で、問われるのはPythonのコードを含む実装力です。事業活用の知識を証明したいだけなら、受験資格の制限が無く受験料も安いG検定で足ります。
実装する仕事に就いている・就きたい人=E資格を検討する。G検定を先に受ける必要はない
公式FAQのとおり、G検定への合格はE資格の受験条件に含まれません。認定プログラムを修了できるなら、G検定を経由せずE資格に申し込めます。
学生=学生価格を使える。E資格合格者の中にも学生がいる
学生価格はG検定5,500円・E資格22,000円です。2026年第1回のE資格合格者911名のうち、学生は175名(19.21%)を占めています。
そもそもAI系の資格を取る意味があるのかどうかで迷っている場合は、判断の分け方をまとめた記事があります。AI資格は意味ないのか|取る前に自分の答えを出す3つの分け方
生成AIパスポートとG検定のどちらを受けるかで迷っている場合は、比較記事もあわせてご覧ください。生成AIパスポートとG検定はどちらを受けるかの比較
よくある質問
よくある質問とは、この記事の内容から派生してよく聞かれる疑問をまとめたものです。
Q. E資格を受けるには先にG検定に合格している必要がありますか?
いいえ。JDLA公式FAQに「G検定に合格されていない方でも、JDLA認定プログラムを修了していればE資格の受験資格がございます」と明記されています。
Q. 認定プログラムを修了してから何年以内に受ければいいですか。不合格だったらどうなりますか。
修了日から受験日まで2年以内です。公式FAQによると、この2年以内であれば不合格になっても再受験できます。
Q. E資格の総額はいくらですか?
受験料は一般33,000円(税込)です。これとは別に認定プログラムの受講料が必要ですが、金額はJDLA公式ページに記載を見つけられませんでした。各認定プログラム事業者のページで確認してください。
Q. G検定は会場でも受けられますか。割引は効きますか。
2026年は会場試験が年3回(3月・5月・9月)実施されています。ただし公式ページの会場試験欄には「各種割引制度なし」と記載されています。
Q. G検定やE資格に有効期限や更新はありますか?
JDLA公式ページと公式FAQでは、資格そのものの有効期限や更新に関する記載を見つけられませんでした(確認日2026年9月7日)。G検定のページにある「有効期限1年間」という記載は、受験のための「受験チケット」の有効期限についてのもので、合格した資格の期限ではありません。混同しないよう注意してください。
まとめ
まとめとは、この記事の結論を短く並べ直したものです。
- G検定とE資格は上下関係ではなく別物。G検定は「事業活用」、E資格は「実装」を測る試験だとJDLA公式ページに書かれている。
- 受験資格の違いが最大のポイント。G検定は制限なし、E資格は「JDLA認定プログラムを試験日の過去2年以内に修了していること」が条件で、G検定への合格は条件に含まれない。
- 費用はG検定13,200円・E資格33,000円に加えて、E資格には認定プログラムの受講料が別途かかる(金額は公式ページに記載を見つけられなかった)。
- 合格率はG検定83.08%・E資格69.17%(いずれも直近の公表値)だが、E資格の受験者は全員が認定プログラム修了者であり、母集団が違う点を踏まえて読む必要がある。
- 非エンジニアはE資格を受けなくてよい。実装の仕事に就いている・就きたい人だけがE資格を検討すればよい。


コメント