Web会議の最中に、後ろでインターホンが鳴ったり、家族の話し声やテレビの音が入ったりすると、画面の向こうにどこまで聞こえているのか気になって、話に集中できなくなることがあります。マイクを買い替える前に、まず今使っているアプリの設定でどこまで防げるのかを知りたい――という悩みに、Microsoft Teams・Zoom・Google Meet の公式ヘルプを確認して答えます。
先に要点
- まず設定を1段上げる。3社とも会議中に変更でき、追加費用はかからない(Teams=ノイズ抑制トグル/Zoom=背景雑音の抑制を「高」/Meet=ノイズキャンセルをオン)。
- 「人の声」が消えるかどうかは3社で答えが割れる。Meetは「話している人の声は除去されません」と明記。Zoomは「高」で「他の人の話し声」も消すと明記。Teamsは声を登録する別機能「音声分離」で対応する(効き具合は当社未確認)。
- Google Meetを無料の個人アカウントで使っている場合、クラウド型ノイズキャンセルの対象一覧に無料アカウントは見当たらない(当社の読み取り)。ただしAndroidの対象機種なら、Workspaceでなくても端末側の処理が使える。
- マイクとの距離や向き(指向性)は、どのアプリの設定を変えても直らない。ここから先は機材の話になる。
この記事は、Teams・Zoom・Google Meetそれぞれの公式ヘルプと、マイクメーカーShure(シュア)の公式ページを2026年9月7日に確認した内容だけで書いています。見つけられなかったことは「見つけられませんでした」とそのまま書きます。
買う前に、設定を1段上げる
3社とも、雑音を抑える機能は会議中に切り替えられる。費用をかけずにできる最初の一手だ。
Teamsは会議画面の「その他のアクション」から「オーディオ設定」を開き、「ノイズ抑制」トグルをオンにする。Zoomは会議ツールバーのオーディオアイコン横の上矢印から「オーディオ設定」を開き、Microphone modesを選び直す。Meetは会議画面下部の「その他」から「設定」>「音声」>「ノイズ キャンセル」をオンにする。Meetでは、音声インジケーターを囲む円が大きいほど除去量が多いことを示す、と公式ヘルプに書かれている。
3社の設定場所と選べる段階
設定場所も名前も、3社で違う。表にまとめる。
| 項目 | Microsoft Teams | Zoom | Google Meet |
|---|---|---|---|
| 設定場所(会議前) | 「設定など」>「設定」>「デバイス」>「ノイズ抑制」 | プロフィール画像>Settings>Audio>Suppress background noise | meet.google.com>会議を選択>「その他」>「設定」>「音声」>「ノイズ キャンセル」 |
| 会議中に変えられるか | できる(「その他のアクション」>「オーディオ設定」) | できる(オーディオアイコン横の上矢印>Audio settings) | できる(画面下部「その他」>「設定」>「音声」) |
| 選べる段階 | デスクトップの公式手順にはトグルのオン・オフだけが書かれている。「自動・低・高」の3段階の説明はiOS版の節にある | Auto/Low/Medium/High の4段階 | オン・オフのみ(強弱の段階は公式ヘルプに記載がない) |
Teamsは注意が要る。日本語版・英語版とも、デスクトップの手順として書かれているのは「ノイズ抑制」トグルのオン・オフだけで、「自動・低・高」の3段階の説明はiOS版の節にしかない。これは「デスクトップでは選べない」という意味ではなく、公式ヘルプにその記載を見つけられなかった、という意味にとどめておく(英語版の導入文には「3段階のノイズ抑制を提供する」という趣旨の一文がある)。
設定で消えると書かれている音・消えないと書かれている音
公式ヘルプが名指ししている音だけを、○(消すと明記)・×(消えないと明記)・-(記載を見つけられなかった)で並べる。当社が試して確かめた効果ではない。
| 音の種類 | Teams | Zoom | Google Meet |
|---|---|---|---|
| タイピング音 | - | - | ○ |
| ドアの開閉音 | ○ | - | ○ |
| ファン・エアコンの音 | ○(iOS版の「低」の説明) | ○(「中」の説明) | - |
| 会議室の反響・工事現場の音 | - | - | ○ |
| テレビの音声 | - | - | × |
| 隣の人・家族の話し声 | -(通常のノイズ抑制の対象かは記載なし。声を登録する別機能は下の見出し参照) | ○(「高」の説明) | × |
| 音楽 | -(「低」は音楽再生時に適するという記載のみ) | -(「低」は音楽再生時に適するという記載のみ) | -(音楽を届けたいときはオフにする、という案内のみ) |
Google Meetは「タイピング音、ドアを閉める音、会議室の反響音、建設現場の音などの背景雑音を除去できる」「テレビの音声や話している人の声は除去されません」と公式にはっきり書いている。3社の中で、人の声について「消えない」と明記しているのはMeetだけだ。Zoomは「高」の説明として「他の人の話し声のような雑音も除く」(当社の訳)と公式に書いており、Meetとは逆の方向を示す。Teamsの通常のノイズ抑制(iOS版「高」の説明)は「音声ではないすべての背景音」が対象で、声を扱うのは次の見出しの「音声分離」になる。文字起こしを使う場合、ここで消えなかった音は誤変換にもつながるので、AIで議事録を作る手順もあわせて確認しておくと良い。
Google Meetは無料アカウントで使えるか
クラウド型のノイズキャンセル(サーバー側で処理する方式)について、公式ヘルプは対象を「特定のGoogle Workspaceエディション向け」とし、Business系・Enterprise系・Education系各エディション、Frontline、Workspace Individual、保存容量2TB以上のGoogle Oneという一覧を挙げている。この一覧に「無料」「個人のGoogleアカウント」という語は出てこない。
| あなたの状況 | 使えるかの根拠 |
|---|---|
| 上の一覧のWorkspaceエディション、またはGoogle One(2TB以上)に加入 | 対象として公式に列挙されている |
| 無料の個人Googleアカウントで、上の一覧に当てはまらない | 対象一覧に記載は見当たらない(当社の読み取り。「無料では使えない」という公式文はない) |
| Android(Pixel 4以降、Samsung Sシリーズ S10以降など)を使っている | Workspaceのユーザーかどうかにかかわらず利用できると公式に明記 |
| 会議の主催者側の組織が既定でオンにしている | その会議中に限り、参加している組織外のユーザーも利用できると明記 |
注意したいのは、対象一覧に載っていないBusiness Starterが、既定オン・オフを説明する別の段落には登場している点だ。公式ヘルプの中で記述が食い違うため、当社はBusiness Starterでの可否を断定しない。iPhoneやパソコンについては、Androidのような「Workspaceでなくても使える」という記載は見つけられなかった。
声を登録して、周りの人の声を扱う機能
TeamsとZoomには、自分の声をあらかじめ登録して、それ以外の音や声を減らす機能がある。Google Meetには、これに相当する機能の記載を見つけられなかった(Gemini付きのWorkspaceでは、ノイズキャンセルの代わりに「スタジオ サウンド」という別機能が使える、という記載はある)。
| 項目 | Teams「音声分離」 | Zoom「Personalized audio isolation」 |
|---|---|---|
| 公式の説明 | 登録したプロファイルと一致しない音や声を削除する | 声紋で音声を明瞭にし、背景雑音を抑える。人が多い環境向け |
| 登録にかかる時間 | 音声プロファイルの作成に約30秒(いつでも削除可) | 声紋の録音に30秒以上 |
| 条件に合わないとき | 「設定」に「認識」が出ない場合はIT管理者に確認 | ヘッドセット以外+声紋なしなら標準処理に自動で戻る、と公式に明記 |
| 無料版・個人版で使えるか | 関連する公式ヘルプ3ページとも記載を見つけられなかった | 条件として書かれているのはアプリのバージョンと対応端末で、アカウント種別は公式2ページで記述が一致せず断定しない |
Teamsの音声分離には「他のスピーカーからの音をフィルタリングしてエコーを防ぐ」という一文もあるが、ここでの「スピーカー」が人(話者)か機器かはこの一文だけでは判断できなかった。そのため本記事では、管理者向けページの「プロファイルと一致しない音や声を削除する」を根拠として採用している。いずれの機能も、実際にどれだけ隣の人の声が消えるかは当社では試していない。
設定では変わらないもの――距離とマイクの向き
ここまでの設定は、いずれもアプリ側がマイクの信号を処理する話であって、マイクそのものの向きや、口との距離を変えるものではない。マイクメーカーShureの公式ページによると、マイクには収音する方向の性質(指向性)に種類がある。
| 指向性の種類 | Shure公式の説明 |
|---|---|
| 無指向性(Omni) | 全ての方向から同じ感度で収音する。指向性は球体に近いほぼ完全な円形で、フィードバックには弱い |
| カーディオイド(単一指向性) | ピックアップ角度は131度。フィードバックを除去する効果に優れる |
| サブカーディオイド | 背面に対する感度が、正面に比べて3〜10dB低い |
| スーパーカーディオイド | カーディオイドよりもピックアップ角度が狭く、横からの音を遮断する |
| ハイパーカーディオイド | 側面からの音の遮断に非常に優れる |
Shureの公式ページには、マイクを音源に近づけるほど低音域が強調される「近接効果」があり、単一指向性で起き無指向性では起きない、とも書かれている。「口とマイクの距離は何センチか」という数値は、Shure・Google・Microsoft・Zoomのどの公式ページでも見つけられなかったため、この記事では示さない。設定でできるのは音の処理までで、そこから先は機材の話だ(この線引きは公式にある文ではなく、3社の記述とShureの説明を当社が並べた整理)。特定の機種を選ぶ基準は個人用スピーカーフォンの公式仕様を1人で使う前提で並べた記事で扱っている。「AI搭載」をうたうWebカメラの内蔵マイクは中身がカメラごとに違うため、実際に何が自動になるかを確認した記事も別に用意している。
やってはいけない設定
- 音楽や演奏を届けたい会議で「高」「High」のままにする。TeamsもZoomも「低」寄りの段階が音楽再生時に適するという説明になっており、Meetは公式に「ノイズ キャンセルをオフにしてください」と案内している。
- 電気式人工咽頭を使っている場合に、Meetのノイズキャンセルをオンのままにする。公式ヘルプが明確に「オフにすることをおすすめします」と注意している。
- Zoomの個人音声分離(Personalized audio isolation)を選んだつもりで安心する。ヘッドセット以外のマイクを使っていて声紋も録音していない場合、公式の説明どおり標準の背景雑音除去に自動で戻るため、期待した効果にならないことがある。
場面別の答え
| 場面 | まず試すこと |
|---|---|
| 家族の物音や来客のインターホンが気になる | 3社とも標準のノイズ抑制・ノイズキャンセルをオンにする。会議中でも変えられるので、今の会議からすぐ試せる |
| 人が多い場所で、自分の声だけを届けたい | Zoomの個人音声分離、またはTeamsの音声分離を試す。Teamsは音声プロファイルの登録が必要。Zoomは声紋を録音していないと、ヘッドセット以外のマイクでは標準処理に戻る。Meetには同種の機能の記載を見つけられなかった |
| 会議中に音楽や楽器の音を届けたい | Zoomは「低」またはOriginal sound for musicians、Teamsは「低」、Meetはオフにする、と各社が案内している |
| 無料アカウントでどこまでできるか先に知りたい | Meetは対象一覧に無料アカウントの記載がない(当社の読み取り)。Zoomは公式2ページの記述が一致せず断定できない。Teamsはライセンス要件の記載を見つけられなかった |
よくある質問
Q. 設定を「高」にすれば、家族の声も消えますか?
A. 3社で答えが違う。Meetは「話している人の声は除去されません」と明記。Zoomは「高」で「他の人の話し声」も消すと書く。Teamsの通常の「高」は「音声ではないすべての背景音」が対象で、声を扱うのは別機能の音声分離になる。実際どれだけ消えるかは当社未確認。
Q. 会議の途中で設定を変えられますか?
A. 3社とも、会議中の画面から呼び出して変えられる。事前の設定画面に戻る必要はない。
Q. 無料のGoogleアカウントでMeetのノイズキャンセルは使えますか?
A. クラウド型の対象一覧に無料アカウントの記載は見当たらない(当社の読み取り)。Androidの対象機種なら端末側の処理は使える。相手側の組織が既定でオンにしていれば、その会議中に限り利用できる場合もある。
Q. 音楽や楽器の音を会議で届けたいときは?
A. Meetは「ノイズ キャンセルをオフにしてください」と案内。Zoomは「低」が向くとされ、演奏用にOriginal sound for musiciansも用意される。Teamsは「低」が音楽再生時に適するとされている。
Q. Zoomでオリジナルサウンドをオンにすると雑音の抑制はどうなりますか?
A. 公式には「エコー除去と後処理を無効にする」とある。「背景雑音の抑制が切れる」と明記した一文は見つけられなかったため断定しない。
まとめ
- まず標準のノイズ抑制・ノイズキャンセルを会議中にオンにする。3社とも追加費用なしでその場で変えられる。
- 「人の声」を消せるかは3社で答えが割れる。Meetは消えないと明記、Zoomは「高」で他の人の話し声も消すと明記、Teamsは声を登録する音声分離という別機能で対応する。
- Meetを無料の個人アカウントで使う場合、クラウド型の対象一覧には記載が見当たらない(当社の読み取り)。Androidの対象機種なら端末側の処理は使える。
- マイクとの距離や向き(指向性)は、設定では直らない。ここから先は機材の話になる。
- ライセンス要件や距離の数値など見つけられなかったことは、そのまま「見つけられませんでした」と書いている。
出典
- Microsoft Teams「会議での背景雑音を減らす」(確認日:2026年9月7日)
- Microsoft Teams「音声分離」利用者向けヘルプ(確認日:2026年9月7日)
- Microsoft Teams「音声分離」管理者向けヘルプ(確認日:2026年9月7日)
- Zoom公式ヘルプ「Suppress background noise」(確認日:2026年9月7日。日本語URLでも英語で表示された)
- Zoom公式ヘルプ「Personalized audio isolation」(確認日:2026年9月7日)
- Zoom公式ヘルプ「Microphone modes」(確認日:2026年9月7日)
- Google Meetヘルプ「ノイズ キャンセル」(確認日:2026年9月7日)
- Shure公式「マイクの指向性」解説(確認日:2026年9月7日)


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