ChatGPTの要約はどこまで信じられるか|落ちやすいのは数字ではなく「条件」

ChatGPTの要約はどこまで信じられるか(記事のアイキャッチ画像) 仕事でAI活用

長い資料をChatGPTに要約させた。読んでみると筋は通っているし、おかしなところも見当たらない。それでも、このまま会議資料に貼っていいのか判断がつかない。

その迷いは正しいものです。要約の事故は「変な文が混じる」形では出てきません。文章としては完全に正しいまま、原文にあった一言だけが消えます。そして消えた一言は、消えたという痕跡を残しません。

この記事の結論(先に4つだけ)

  1. 落ちやすいものは、当サイトの検品記録では4種類に分かれます。数字・否定・条件(例外)・主語の4つです。この4つに絞ると、原文を全部読み直さなくても点検できます。
  2. いちばん危ないのは数字ではなく「条件」です。数字は目立つので読み手が確かめます。条件は、消えても文が成立してしまうので、確かめる動機すら生まれません。
  3. 省略は不具合ではなく仕様です。公式ヘルプは、要約が属する「変換(Transformation)」を「本質を変えずに形を変える作業」と定義していますが、何が本質かは定義していません。OpenAIの仕様書も、確信が持てない細部のうち本質的でないものは省くべきである、と明文で指示しています(ただしこちらは、要約について書かれた規定ではありません)。(2026年8月19日、Model Spec の全文と公式ヘルプ4ページを読んで確認)
  4. 点検の勘所は「要約を読む」ではなく「原文を条件語で検索する」ことです。要約側をいくら読み返しても、落ちたものは見えません。後半に、当サイトが実務で使っている条件語のリストをそのまま置きました。
要約から落ちやすい4つを横に並べた対比図。①数字(と、その数字が成り立つ条件)は、数字自体は残ることが多く、数字には気づくが条件には気づかない。確かめ方は、数字を1つずつ原文の同じ数字の前後3行と見比べること。②否定(〜ではない、対応していない)は、落ちても文は成立し、しかも意味が反対になる。ほぼ気づけない。確かめ方は、原文を否定語で検索し、要約に残っているか数えること。③条件・例外(〜の場合を除き、〜に限り)は、いちばんきれいに文が成立し、まず気づけない。確かめ方は、原文を条件語で検索すること。④主語(誰が・どれが)は文が成立し、短い引用ほど気づけない。確かめ方は、要約の各文に「誰が」を書き足せるか試すこと。③条件・例外がいちばん危ないのは、落ちても文がきれいに成立し、読み手に確かめようという動機が生まれないため。この4分類は当サイトが自社の検品記録から作ったもので、公式が示した分類ではない。頻度や確率は測定していないため書いていない。
落ちても文が成立し、読み手が気づけないものほど危ない(当サイトが自社の検品記録をもとに作成した分類です。公式が示した分類ではありません・2026年8月19日時点)
落ちるもの 落ちても文が成立するか 読み手が気づけるか 確かめ方(一言で)
①数字(と、その数字が成り立つ条件) 数字自体は残ることが多い 数字は気づく。条件は気づかない 数字を1つずつ、原文の同じ数字の前後3行と見比べる
②否定(〜ではない/対応していない) 成立する。しかも意味が反対になる ほぼ気づけない 原文を否定語で検索し、要約に残っているか数える
③条件・例外(〜の場合を除き/〜に限り) いちばんきれいに成立する まず気づけない 原文を条件語で検索する(後半のリスト)
④主語(誰が・どれが) 成立する 短い引用ほど気づけない 要約の各文に「誰が」を書き足せるか試す

この記事の根拠|見た資料と、確かめられなかったこと

ここに出てくる公式の記述は、2026年8月19日に、OpenAI公式ヘルプ4ページとOpenAI Model Spec(2025年12月18日版)の全文を実際に開いて確認したものだけです。引用は原文のまま載せ、日本語にしたものは当サイト訳と明記します。

先に、確かめられなかったことを書いておきます。

1|長い資料のうち、どこまで読まれているのか → 公式の説明に到達できませんでした(ヘルプ該当ページとFAQ全文を retrieval portion relevant entire context window で走査)。だからこの記事では「一部しか読まれない」とは書きません。

2|要約の精度を示す公式の数値 → ありません。この記事に「◯%が落ちる」の類の数字は1つも出てきません。

3|落ちやすい項目についての公式の分類 → ありません。後半の4分類は、当サイトが自分の検品記録から作ったもので、公式の分類ではありません。

4|当サイトはChatGPTの要約精度を測定していません。 → 後の章の事故は、自社の記事を作る過程で、AIの出力を別担当が検品して見つけたものです。ChatGPTの性能評価ではなく、頻度も書きません。

なお、渡した資料そのものが読まれていないケース(スキャンしたPDFなど)は原因が別です。要約が中身とまるで違うときは、まずChatGPTがPDFを読み込めない原因を先に確認してください。また、その資料をそもそも入力してよいかは社内資料をChatGPTに読ませていい?入力可否の判定フローつきで扱っています。

要約とは何をする作業か|公式は「変換」を「本質を変えずに」と定義している

OpenAIの公式ヘルプは、ファイルを渡してできる作業を3つに分類しています。要約はそのうちの「変換(Transformation)」に入っており、次のように定義されています。

Transformation: Reshaping information from documents without changing its essence, for example:
・Upload a complicated research paper and ask ChatGPT to provide a simple summary.
(中略)
・Summarize a document in simple terms.
(以下2項目略)

OpenAI Help Center「How does the new file uploads capability work?」(英語・2026年8月19日確認)

この引用では、例として並ぶ5項目のうち2つだけを示しました。省いた3項目は、当サイト訳で「プレゼン資料への感想を求める」「短い文書を特定の文体で書き換える」「プレゼンを文書に変換する」です(要約とは別の作業なので省きました。省いたことを書いておくのは、この記事の後半で述べる理由によります)。

当サイト訳では「変換:本質を変えずに、文書の情報を別の形に再構成すること」。例として「複雑な研究論文をアップロードして分かりやすい要約を依頼する」が挙げられています。論文の要約は、公式が名指しで想定している使い方です。(同ページの日本語版は冒頭に「このページは機械翻訳されています」と明記されているため、根拠は英語版を使っています。)

問題は定義の後半です。「本質を変えずに」とは書かれていますが、何が本質なのかは、このページのどこにも定義されていません(2026年8月19日、ページ全体を読んで確認)。では誰が決めているのか。OpenAIが公開している仕様書「Model Spec」に手がかりがあります。

If uncertain about a detail that’s not essential in the response, the assistant should omit the detail.

OpenAI Model Spec(2025年12月18日版)「Avoid factual, reasoning, and formatting errors」より・2026年8月19日確認

当サイト訳「回答にとって本質的でない細部について確信が持てない場合、アシスタントはその細部を省くべきである」。確信が持てないときは省いてよい、と明文で指示されています。そして「本質的でない」の判定は、原文を書いた人でも、あなたでもなく、モデル側にあります。

ただしこの一文は、「事実の誤りを避ける」という節にあり、モデルが自分の答えに確信を持てないときの振る舞いを定めたものです。渡した資料の要約について「条件を落としてよい」と書いた記述は、Model Spec にも公式ヘルプにもありません(2026年8月19日、Model Spec の全文と公式ヘルプ4ページを、summar paraphras omit omission condens concise gist verbatim faithful nuance caveat essential irrelevant selective conceal withhold で走査し、要約に関係しうる箇所を全件開いて確認しました。この「ありません」は、この範囲で見つからなかった、という意味です)。ここから言えるのは、「何が本質でないかを決めるのはモデル側だ」というところまでです。省略が起きること自体の根拠は、その前に引いた公式ヘルプの定義——「本質を変えずに形を変える」と決めておきながら、何が本質かは決めていない——のほうにあります。

公式が書いていること そこから言えること
要約が属する「変換」は「本質を変えずに」形を変える作業である(ヘルプ) 要約の合否は「本質が残っているか」で決まる
何が本質かの定義は、確認した範囲では書かれていない 読み手の側で「自分にとっての本質」を先に決めておく必要がある
確信が持てない細部のうち、本質的でないものは省くべきである(Model Spec・要約について書かれた記述ではない) 「本質的でない」を判定しているのはモデル側である

正直に書いておきます。この記事も、いま引用した一文の条件を一度落としました。下書きの段階では、この一文を「本質的でない細部は省くべきである」と条件抜きで書き、そのまま本文の6か所に広げていました。公開前の検品で、執筆した担当とは別の担当が原典と突き合わせて見つけ、6か所を同時に直しています。この記事が扱っている脱落は、この記事を作る過程でも起きました。

もう一つ、同じ仕様書には判定に使える一文があります。

The assistant should not mislead the user or developer unless explicitly instructed to do so by a higher authority — whether by making intentionally untrue statements (“lying by commission”) or by deliberately withholding information that would materially change the user’s understanding of the truth (“lying by omission”).

OpenAI Model Spec(2025年12月18日版)「Do not lie」より・2026年8月19日確認

当サイト訳では、「読み手の理解を実質的に変えてしまう情報を伏せること」を「省略による嘘」と呼んでいます。(前半に「より上位の権限から明示的に指示された場合を除き」という条件が付いています。この条件も落とさずに引用しました。)モデルに課された禁止事項ですが、読み手にはそのまま点検の基準になります。

点検の基準:要約から何かが落ちたと分かったとき、問うのは「重要かどうか」ではありません。「それが無いと、読み手の理解が実質的に変わってしまうか」です。変わるなら、書いてある部分が全部正しくても、その要約はそのまま使えません。

まとめると:省略は事故ではなく仕様です。だから「落ちないようにする」より、「落ちたものを見つける」ほうに手間を寄せたほうが確実です。

なお、原文に無いものが作り出される(実在しない研究名や数字が混じる)のは、この記事とは別の話です。そちらはChatGPTハルシネーション対策で扱っています。照合先が違います——嘘の混入は外の世界と突き合わせて見つけ、脱落は手元の原文と突き合わせて見つけます。

落ちやすい4つと、その確かめ方

以下は当サイトが自社の記事を作る過程で、執筆担当とは別の検品担当が実際に見つけて止めたものを、型ごとに整理したものです。

①数字|数字は残る。落ちるのは「何と比べた数字か」

数字そのものは、消えれば気づかれやすいものです。目立つので読み手が確かめるからです。落ちるのは、その数字を成り立たせている条件のほうです。

項目 内容
起きた場所 当サイトの記事「教員のChatGPT活用」の制作時(公表資料からの引用)
原文 前回調査(平成28年度)と比較して、平日・土日ともに、全ての職種において在校等時間が減少したものの、依然として長時間勤務の教師が多い状況」
原稿に載っていた形 「全ての職種において在校等時間が減少したものの、依然として長時間勤務の教師が多い状況」
落ちたもの 比較の相手(前回調査=平成28年度)
検品担当の判定 「比較対象という意味の中核が落ちており、記事内に基準年が一切ない」

「減少した」という事実は残っており、日本語としても正しい。それでも何年と比べて減ったのかが消えたので、読み手はその数字を位置づけられません。

確かめ方:要約の数字を1つずつ拾い、原文の同じ数字の前後3行を読みます。「〜と比較して」「〜時点で」「〜あたり」「〜を除く」が付いていたら、要約側にも付いているか確認します。まとめると、数字そのものではなく、数字の隣を見ます。

②否定|「対応していない」が落ちると、意味が反対になる

否定が消えた文は、消える前と正反対の意味になるのに、日本語としては違和感がありません。

項目 内容
起きた場所 当サイトの記事「ChatGPTがPDFを読み込めない原因」の制作時(公式ヘルプからの要約)
原文(OpenAI公式ヘルプ「Visual Retrieval with PDFs FAQ」) 「This capability is available only to ChatGPT Enterprise customers. It is not supported for ChatGPT Free, Pro, Team, or Edu accounts.
原稿に載っていた形 ある機能について、入れ方によって扱いが違うと、プランの区別なしに書かれていた
落ちたもの 「Enterprise以外では対応していない」という否定と、適用範囲
読者への実害 大多数の読者にとって扱いは同じなので、効果のない作業をすることになっていた

見つけにくくしていた事情がもう一つあります。記事末尾の出典欄には「Enterprise限定」と正しく書いてありました。本文と出典欄を突き合わせても矛盾に見えず、原典を開くまで分からない状態でした。

確かめ方:原文を not never ではない ありません できません 対応していない 含まない 除く で検索し、ヒットした文が要約のどこに反映されているかを1件ずつ対応づけます。反映先が見つからない否定文が、落ちた否定です。まとめると、否定は要約側から探せません。原文側から数えます。

③条件・例外|いちばん静かに消える。この記事の主題

条件は、消えても文がきれいに成立します。しかも消えた結果は「元より広い主張」になるので、読んだ人は強い断定を受け取ります。

項目 内容
起きた場所 当サイトの記事「教員のChatGPT活用」の制作時。見出し1本ぶんの説明をFAQに集約して短くする工程
落ちたもの 文部科学省のガイドライン(p.16)が著作権法第35条の適用を説明した文にある限定「既存の著作物と同一又は類似のものを
検品記録の言葉 集約の過程で原文の限定が落ちた、と記録されている。あわせて「短くまとめる工程は、条件が落ちやすい」と書かれている(カギカッコ内は記録の原文)
同型の再発 同じ記録に、前日の作業で「引用を短く正確に直すと主語が落ちて意味が反転する」という教訓が既に出ていた、と書かれている

注目してほしいのは、この脱落が「引用を短くする」という善意の作業の中で起きていることです。文字数を削るとき真っ先に候補になるのは、文の中でいちばん長くて回りくどい部分——つまり条件節です。

確かめ方:原文を条件語で検索します(リストは次章)。まとめると、条件は「短くした箇所」に集中して落ちます。原文で長かった文を優先して見ます。

④主語|一字も変えていないのに、意味が反転する

最後は主語です。語を1つも書き換えていないのに意味が逆になるため、「原文の言葉をそのまま使っているか」だけを見る点検では捕まりません。

項目 内容
起きた場所 当サイトが運営する別のサイト。録音の書き起こしから引用を短く切り出す工程
原文(中略を「……」で示した形) 待ってる方がさ……心がね、疲れそう」
短くした形 「心がね、疲れそう」
何が起きたか 短縮後の一文が直前の別の発言に係って読め、記事の主張と正反対の意味に受け取られうる状態になった
検品記録の言葉 「引用の文言自体はどちらも原文どおりなので創作ではないが、並べ方だけで意味が反転する

確かめ方:要約の各文の頭に「誰が」を書き足せるか試します。書き足せない文、あるいは書き足そうとして原文を見に行かないと決められない文が、主語の落ちた文です。まとめると、主語は「書いてあるか」ではなく「復元できるか」で判定します。

落ちた後に起きること2つ|黙って省かれる・条件が増殖する

脱落そのものより厄介なのが、その後です。次の2つは、いずれも当サイトの記事(ChatGPTで仕事が速くならない)の制作時に、検品担当が公開前に止めたものです。

起きること 中身 なぜ厄介か 直し方
省略が表示されない 公式ヘルプの分類を引用するとき、途中の例示を省いたのに「(中略)」を入れていなかった。しかも省いた側に、記事自身の主張の反証になりうる語が入っていた 省いたと書いていなければ、読み手は省かれた事実にすら気づけない 「(中略)」を明示し、省いた中身が何かを地の文で説明した
条件が落ちたまま増える 「これは当サイトの目安である」という限定が付かないまま、同じ断定が本文の5か所(冒頭の結論・本文の枠・小見出しのまとめ・FAQ・記事末のまとめ)に広がっていた。さらに、その5か所を直したあとに、見出しの中にもう1か所残っているのが見つかった(見出しは本文の文ではないので、最初の洗い出しから漏れていた) 1か所だけ直すと、記事の中で表現が割れてどちらが正しいか分からなくなる 5か所を同時に直し、限定を本文に明記した。あとから見つかった見出しの1か所も直した

2つ目は要約を扱う人に特に効きます。条件の落ちた要約を一度どこかに貼ると、そこから先はコピーされて増えます。企画書に貼り、スライドに貼り、報告書に貼る。元に戻すには、貼った場所を全部探して同時に直すしかありません。

まとめると:落ちた条件は放っておくと増えます。点検は「使う前」に済ませるのが、いちばん安く済みます。

原文に全部戻らずに確かめる|条件語の走査リスト

原文を読み直したら要約させた意味がないので、読むのではなく検索します。当サイトが実務で使っている手順をそのまま置きます。これは当サイトのやり方であって、公式が示した手順ではありません。

点検の向きを示した図。左は要約の側から見る場合で、バツ印。要約を何度読み返しても落ちたものは見えない。書いてある部分はすべて正しいから。右は原文の側から見る場合で、丸印。原文を条件語で検索し、ヒットした文が要約のどこに入っているかを1件ずつ対応づける。下は貼る前の5手順。1、自分にとっての「本質」を先に1行で決める。2、原文を条件語で検索する(要約側は見ない)。3、要約に対応する記述が無いものだけ抜き出す。4、「これが無いと読み手の理解が実質的に変わるか」を問う。5、戻すときは貼った場所を全部同時に直す。手順4で変わるものだけを要約に戻す。全部戻すと要約でなくなる。これは当サイトが実務で使っている手順で、公式が示した手順ではない。所要時間は計測していないため書いていない。
要約側からは落ちたものが見えないので、原文側から検索する(当サイトが実務で使っている手順をもとに作成した図です。公式が示した手順ではありません・2026年8月19日時点)

貼る前の5手順(原文を読み返さずにできます)

  1. 自分にとっての「本質」を先に1行で決める。この要約を何に使うのか(誰に見せ、何を決めるのか)。ここが決まっていないと、落ちたものが痛いかどうか判定できません。
  2. 原文を条件語で検索する(下の表)。要約側は見ません。落ちたものは、落ちた側からは見えないからです。
  3. ヒットした条件語のうち、要約に対応する記述が無いものだけを抜き出す。ここまでで、たいてい数個に絞れます。
  4. 抜き出した1件ずつに「これが無いと、読み手の理解が実質的に変わるか」を問う。変わるものだけを要約に戻します。全部戻すと要約でなくなります。
  5. 戻すときは、その要約を貼った場所を全部同時に直す。1か所だけ直さないこと。
探すもの 原文で検索する語(同じ意味の言い換えを先に並べます)
条件・例外 場合/とき/限り/のみ/だけ/除き/除く/以外/ただし/なお/原則/例外/に該当する/を対象/を前提/only except unless if all other
否定 ない/ません/できません/しない/対応していない/含まない/該当しない/not no never without
数字にかかる条件 と比較して/時点/現在/あたり/当たり/最大/最小/未満/以上/以下/超/を除く/概算/見込み
範囲の限定 版/プラン/地域/対象者/有効期限/まで/から/適用/対象外

検索するときの注意が2つあります。当サイトが実際に外したところです。

1|1つの語で決めない。同じことを別の言い方で書いてあると、検索は0件を返します。0件は「無い」ではなく「その語では無い」という意味しかありません。上の表を、言い換えを並べた形にしてあるのはそのためです。

2|条件が1つも書かれていない要約は、いったん疑う。原文に条件が無かったのか、条件が落ちたのかを、要約だけからは区別できません。公式資料や公的資料で、条件が1つも付いていない記述のほうがむしろ珍しいというのが、当サイトが資料を読んできての実感です。数値・仕様・法令にかかわる要約で条件がゼロなら、手順2に進んでください。

まとめると:見るのは要約ではなく原文です。ただし読むのではなく、検索します。ここまでは、原文を開いて検索するだけの作業です。

どこまでやるか|用途別の3択と、やらなくていい場合

全部の要約にこれをやる必要はありません。手間は、その要約が外れたときの痛みに合わせます。

要約の用途別に、どこまで点検するかを3段に分けた図。第1に、自分が中身を思い出すため(読んだ資料の再確認、下調べ)は、何もしなくて構わない。間違っていても、次に原文を開いたときに自分で気づける。目安の手間は0分。第2に、人に渡す(会議資料、社内共有、上司への報告)は、前章の手順1から4。条件と否定の2つだけでも効果がある。目安の手間は3から5分。第3に、外に出す(公開記事、提案書、契約や法令に触れるもの)は、前章の手順1から5に加えて、要約した本人ではない人が見る。当サイトが執筆と検品を別担当にしているのはこのため。目安の手間は資料しだい。予算も人手も無くて第3が回らないときは、外れたら取り返しがつかない文を1つだけ選び、それだけを原文と突き合わせる。目安の手間は当サイトが実務から置いている目安で、時間を計測した結果ではない。
1行目は「何もしない」。手間は、その要約が外れたときの痛みに合わせる(当サイトの実務での使い分けをもとに作成した図です・2026年8月19日時点)
用途 やること 目安の手間
第1に:自分が中身を思い出すため(読んだ資料の再確認、下調べ) 何もしなくて構いません。間違っていても、次に原文を開いたときに自分で気づけます 0分
第2に:人に渡す(会議資料、社内共有、上司への報告) 前章の手順1〜4。条件と否定の2つだけでも効果があります 3〜5分
第3に:外に出す(公開記事、提案書、契約や法令に触れるもの) 前章の手順1〜5に加えて、要約した本人ではない人が見る。当サイトが執筆と検品を別担当にしているのはこのためです 資料しだい

予算も人手も無くて第3が回らない場合は、範囲を狭めてください。その要約の中で、外れたら取り返しがつかない文を1つだけ選び、それだけを原文と突き合わせます。全部やらないと意味がない、ということはありません。

関連して、会議の録音から議事録を作る一連の工程(録音・文字起こし・要約・共有)はAIで議事録を作る手順にまとめてあります。また、要約ではなく書いた原稿を世に出す前の裏取り(数字や引用をどこへ確認しに行くか)はAI記事のファクトチェック手順が担当です。

よくある質問

Q. モデルが新しくなれば、条件は落ちなくなりますか?

A. 当サイトには判断材料がありません。モデルごとの要約精度を測定していませんし、公式が要約の精度を数値で示している資料も、今回確認した範囲では見つかりませんでした。ただし、要約が属する「変換」は「本質を変えずに形を変える作業」と定義されていて、何が本質かは、2026年8月19日に確認した範囲では定義されていません。この定義が変わらないかぎり、何を落とすかの判断はモデル側に残ります。だから精度が上がっても、省略という動作自体が無くなるとは考えにくい、というのが当サイトの現時点の読みです(公式が今後この定義を書き換える可能性まで否定するものではありません)。

Q. 「省略しないで」と指示すれば防げますか?

A. 指示の書き方はこの記事では扱いません。ただ、指示で防げるかどうかにかかわらず、点検の手間は同じだけ必要です。「省略しないで」と指示したこと自体は、省略されなかったことの証明にならないからです。この記事が原文側の検索を勧めているのは、指示の良し悪しに結果が左右されない点検方法だからです。

Q. 英語の論文を日本語で要約させるときは、何が変わりますか?

A. 落ちるものの種類は同じです(数字・否定・条件・主語)。ただし検索する語を英語側でも用意する必要があります。本文の走査リストに only except unless if all other(否定側は not no never without)を入れてあるのはそのためです。なお、論文という文書に固有の読み方(研究デザインや統計の妥当性の見方)は、この記事の範囲外です。

Q. 要約が正しいかを、AI自身に確かめさせてもいいですか?

A. 当サイトは「自分が書いたものを自分で検品しない」を社内ルールにしています。この記事に出てくる事故は、すべて作った担当とは別の担当が見つけたものです。同じやり方をAIで再現するなら、要約させたチャットとは別のチャットで、原文と要約を並べて「原文にあって要約に無い条件を挙げて」と聞く形になります。ただしこれも要約と同じ道具なので、これで見つからなかったことは「落ちていない」の証明にはなりません。最後は人が原文を検索します。

まとめ

  • 要約の事故は、変な文が混じる形では出てきません。文章として完全に正しいまま、原文にあった一言だけが消えます。
  • 落ちやすいのは数字・否定・条件・主語の4つで、いちばん危ないのは条件です。数字は目立つので読み手が確かめますが、条件は消えても文が成立してしまいます。
  • 省略は不具合ではなく仕様です。公式ヘルプは、要約が属する「変換(Transformation)」を「本質を変えずに」形を変える作業と定義していますが、何が本質かは定義していません。OpenAIのModel Specも「回答にとって本質的でない細部について確信が持てない場合、アシスタントはその細部を省くべきである」(当サイト訳)と明文で指示しています(ただしこちらは、要約について書かれた規定ではありません)。
  • 点検は要約側ではなく原文側から行います。読み返すのではなく、条件語で検索します。落ちたものは、落ちた側からは見えないからです。

次の行動は1つだけです。いま手元にある要約——これから誰かに渡そうとしているもの——について、元の資料を開いて「場合」「除き」「ただし」「ない」の4語だけ検索してください。ヒットした文が要約のどこに入っているかを確かめる。それだけで、この記事の内容の大半は実行できます。

出典

本文に出てくる脱落の事例は、いずれも当サイトが自社の記事を制作する過程で、執筆担当とは別の検品担当が公開前に見つけたものです。ChatGPTの性能を測定した結果ではありません。該当する記事はChatGPTがPDFを読み込めない原因ChatGPTで仕事が速くならない教員のChatGPT活用として公開しており、いずれも修正後の本文を読むことができます。

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