この記事で分かること
- 文部科学省のガイドラインが教員に対して「してはならない」と書いているのは、2つだけだということ
- 所見づくりで手元にある情報を1行ずつ「そのまま入力/置き換えて入力/入力しない」に仕分ける表
- この記事より、あなたの勤務先の教育委員会の通知が優先すること。その確かめ方
「授業準備が終わらない」「所見の季節が来るのが憂うつだ」。そう思ってChatGPTを開いたものの、児童生徒の名前や成績を打ち込んでよいのか分からず、そのまま閉じた——という教員は少なくないはずです。
結論から書きます。文部科学省のガイドラインが教職員の校務利用について「〜してはならない」という強い禁止の言い方をしているのは、①私用アカウント・許可のない私用端末での利用 ②成績情報等をプロンプトに入力すること(個別契約等に基づき適切なセキュリティ対策が講じられた環境で運用しているような場合を除く)の2つだけです。校務での利活用そのものは「積極的に利活用することは有用」と書かれています。一方で、「所見」「通知表」「指導要録」という語は、ガイドライン本文(全33ページ)に1度も出てきません。当サイトが2026年8月14日に全文をテキスト化して検索し、いずれも0件でした。所見へのAI利用について、当サイトは公的な見解を見つけられませんでした(探した範囲は後述します)。
そして最も大事なことを先に書きます。あなたを実際に縛るのは、この記事でも文部科学省でもなく、勤務先の教育委員会の通知と校内のルールです。ガイドライン自身が「教育委員会の方針に基づき利活用すべきである」と書いています。この記事は、その上位ルールを読みに行くための地図です。

この記事が使った公式文書と、探した範囲
初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドラインとは、文部科学省が学校での生成AIの扱い方について示した文書です。現行版はVer.2.0(令和6年12月26日公表・全33ページ)で、当サイトが2026年8月14日に文部科学省の掲載ページと生成AI特設ポータルの両方を確認した時点で、これより新しい版は掲載されていませんでした。
名前が似ている別の文書があります。令和5年7月4日に出た旧版は「初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン」です。現行版は「生成AIの利活用に関するガイドライン」で、名称が変わっています。「暫定的なガイドラインによれば」と書いてある解説記事は、旧版を前提にしている可能性があります。
この記事に書いた事実は、文部科学省・個人情報保護委員会・e-Gov法令検索の一次情報から直接取りました。他サイトの記述を根拠にした箇所はありません。文書名・発行日・URLは記事末尾の出典欄に全件を載せています。
★所見・通知表について、探した範囲をそのまま書きます
この記事の主題である所見・通知表について、当サイトは公的な見解を見つけられませんでした。「見つからなかった」とだけ書くと検証できないので、探した範囲を全部書きます。
| 探した文書 | 「所見」 | 「通知表」 | 「指導要録」 | 検索方法 |
|---|---|---|---|---|
| 生成AIの利活用に関するガイドライン Ver.2.0(全33ページ) | 0件 | 0件 | 0件 | PDF全33ページをテキスト化して全文検索 |
| 同上・追加した語 | 「要録」0件/「調査書」0件/「内申」0件(「学習評価」は2件、「成績」は2件) | 同上 | ||
| 学校現場における生成AIの利活用(文科省担当室の説明資料・全23ページ) | 0件 | 0件 | 0件 | PDF全ページをテキスト化して全文検索 |
| 教育データの利活用に係る留意事項 第4版(全141ページ) | 0件 | 1件 | 9件 | PDF全141ページを全文検索。ただしこの文書には「生成AI」が0件で、通知表・指導要録はデータの種類として出てくるだけ |
| 個人情報保護委員会の注意喚起(全3ページ) | 「学校」0件/「教職員」0件/「児童」0件/「生徒」0件 | 全文検索 | ||
| 文部科学省「生成AIの利用について」ページ/生成AI特設ポータル | 掲載文書の一覧を全件確認。所見・評価に関する個別文書の掲載なし | HTML全文と全リンク(29本・96本)を列挙 | ||
この結果から言えるのは、次の1文だけです。所見・通知表・指導要録への生成AIの利用について、当サイトが確認した公的文書に記述はありませんでした。ここから「だから使ってよい」も「だから使ってはいけない」も導けません。どちらも公式が言っていないことだからです。
この記事が想定している人と、想定していない人
- 想定している人:公立の小学校・中学校の教員で、自分の校務に生成AIを使いたい人
- 扱わないこと①:児童生徒に生成AIを使わせる場面。ガイドラインは「教職員が校務で利活用する場面」(3-1)と「児童生徒が学習活動で利活用する場面」(3-2)で章を分け、禁止事項も別に立てています。混ぜて読むと逆の結論になります
- 扱わないこと②:私立学校・国立学校・学習塾・予備校・企業研修。立場が違います。教育データの留意事項は公立・国立・私立の3編に分冊されており、文部科学省自身が扱いを分けています。また著作権法第35条は「学校その他の教育機関(営利を目的として設置されているものを除く。)」と定めており、塾・予備校は対象外です
教員の校務利用は、公式にどう書かれているか|禁止は2つだけ
教職員の校務利用とは、ガイドラインの第3章第1節「教職員が校務で利活用する場面」(p.13〜16)に書かれた、教員自身が授業準備や文書作成などの業務に生成AIを使う場面のことです。児童生徒の学習利用とは別の章で、守るべきことも別に書かれています。
公式は「積極的に利活用することは有用」と書いている
禁止一色の文書ではありません。逐語で引くと、こうです。
教職員が生成AI の仕組みや特徴を理解した上で、生成された内容の適切性を判断できる範囲内で利用するという前提で、校務において生成AI を積極的に利活用することは有用であると考えられる。
出典:文部科学省「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン(Ver.2.0)」p.13(2026年8月14日確認)
「判断できる範囲内で利用するという前提で」という条件が付いている点が要です。出力の良し悪しを自分で見抜けない領域では、この前提が崩れます。
公式が挙げているねらいは、働き方改革
公式は「授業準備や各種文書のたたき台作成を含む校務において利活用することで、校務の効率化や質の向上等、教職員の働き方改革につなげていくことが期待される」(p.13)と書いています。その授業準備と成績処理に、実際どれだけ時間がかかっているかの実測値が次のとおりです。
| 区分 | 小学校 令和4年度 |
小学校 平成28年度 |
中学校 令和4年度 |
中学校 平成28年度 |
|---|---|---|---|---|
| 在校等時間(教諭・平日1日当たり) | 10時間45分 | 11時間15分 | 11時間01分 | 11時間32分 |
| うち 授業準備 | 1時間16分 | 1時間17分 | 1時間23分 | 1時間26分 |
| うち 成績処理 | 25分 | 33分 | 36分 | 38分 |
条件:教諭(主幹教諭・指導教諭を含む)・平日1日当たり・10月と11月の調査分。1分未満は切り捨て表示。出典:文部科学省「教員勤務実態調査(令和4年度)の集計(確定値)について」令和6年4月4日公表(2026年8月14日確認)
公式の総括は、「前回調査(平成28年度)と比較して、平日・土日ともに、全ての職種において在校等時間が減少したものの、依然として長時間勤務の教師が多い状況」です。上の表に平成28年度の列を並べたのは、この「減少した」がどこからの減少なのかを、読者が自分で確かめられるようにするためです。6年かけて授業準備は1分〜3分しか減っていません。公式が名前を挙げている活用例14項目のうち、最も多くが並ぶのもこの授業準備の領域です(後述)。
★「〜てはならない」と書かれた禁止は2つだけ
ガイドライン本文を「てはならない」で検索すると5件あります(全空白を除いたうえで検索。2026年8月14日)。うち3件は禁止ではありません——AI利用の基本原則の引用(「AIの利用は、憲法及び国際的な規範の保障する基本的人権を侵すものであってはならない」)、児童生徒の学習場面についての「生成AIを利活用することが目的であってはならない」、そして「出力された内容を取り入れるかどうかは教職員が判断しなくてはならない」(p.16・公平性の確保)です。残る2件が、教員の校務利用に対する強い禁止です。
※検索語に注意してください。禁止①は「用いてはならない」なので、「してはならない」で検索すると1件(禁止②のみ)しかヒットしません。ご自分で確かめるときは「てはならない」で検索してください。
| # | 禁止されていること | 公式の記述(逐語) |
|---|---|---|
| 1 | 私用アカウント・許可のない私用端末での利用 | 「生成AI サービスの多くは約款に基づく外部サービスとして提供されており、簡易に利用できるが、私用アカウントや教育情報セキュリティ管理者の許可を得ていない私用端末を用いてはならない。」(p.15) |
| 2 | 成績情報等のプロンプト入力(例外あり) | 「個別契約等に基づき適切なセキュリティ対策が講じられた環境で生成AI を運用しているような場合を除き、プロンプトに重要性の高い情報である成績情報等を入力してはならない。」(p.15) |
出典:同ガイドライン p.15(2026年8月14日確認)
2つ目の「除き」を落として読まないでください。成績情報の入力が一律に不可能なのではなく、個別契約等にもとづいて適切なセキュリティ対策が講じられた環境なら、その限りではないと書かれています。自分の自治体がそういう環境を用意しているかどうかは、あなたが確認する側の情報です。文部科学省は令和7年度に「セキュアな環境での生成AIの校務利用に関する実証研究事業」も行っており、この例外に対応する動きは実際にあります(当サイトは事業ページの本文までは確認していません)。
1つ目の禁止は、どのアカウントで使うかが可否を分けると言っているのと同じです。同じChatGPTでも、自分のスマホの私用アカウントで使うのと、学校・自治体が用意した環境で使うのとでは扱いが違います。個人向けと法人向けで入力したデータの扱いがどう変わるかは、ChatGPTに社内資料を読ませていいのかを判定する記事で詳しく整理しています。
強い禁止ではないが、守るべきとされていること
「〜すべきである」「〜する必要がある」と書かれた項目のうち、いちばん重いのが「教育委員会の方針に基づき利活用すべきである。」(p.15)です。この記事の後半は、まるごとこの1文の話になります。もう1つ、「生成AI サービスに個人情報を含むプロンプトを入力し、当該個人情報がプロンプトに対する応答結果の出力以外の目的で取り扱われる場合には、個人情報保護法違反となり得る。」(p.15〜16)。残りは次のチェック項目7つに整理されているので、実務ではそちらを使うのが早いです。
なお、ハルシネーション(AIがもっともらしい誤りを出すこと)については、参考資料編に使う人間の側のバイアスも書かれています。公式は「流暢な出力を見ると正しいと感じてしまう流暢性バイアス」と「自動化されたシステムや技術に過度に依存してしまう自動化バイアス」を挙げています(p.28)。教材の説明文がすらすら出てくると内容まで正しく見えてしまう——という現象に、公式が名前を付けているわけです。誤りの出方と直し方はChatGPTのハルシネーション(もっともらしい嘘)の対策にまとめています。
公式のチェック項目7つ(そのまま使えます)
ガイドラインの参考資料編(p.24)には、教職員が校務で使うときのチェック項目が公式に用意されています。逐語で全7項目を載せます。

- 「教育委員会の方針(情報セキュリティに関するルール・指示等も含む)に基づき利用しているか」
- 「業務端末又は教育情報セキュリティ管理者の許可を得た端末を利用しているか」
- 「生成AI サービスの提供者が定める最新の利用規約を確認・遵守しているか」
- 「ハルシネーションやバイアス等の生成AI の特徴を理解した上で、出力結果の適切性を判断できる範囲内で利活用し、出力された内容を採用するかどうかを自身で判断しているか」
- 「プロンプトに重要性の高い情報である成績情報等を入力していないか」
公式の注記(逐語):「重要性の高い情報を扱う前提のセキュリティ対策が講じられている場合は除く(ただし、重要性の高い情報のうち個人情報に該当する情報については、以下「プロンプトに個人情報を入力していないか」についても留意する必要がある。)」 - 「プロンプトに個人情報を入力していないか」
公式の注記(逐語):「教職員がプロンプトに入力した個人情報を、生成AI サービスの提供者において応答結果の出力以外の目的で取り扱わないことを確認している場合は除く」 - 「著作権の侵害につながるような使い方をしていないか」
出典:同ガイドライン p.24(2026年8月14日確認)。括弧内のページ番号表記は省略しました。
この7項目のうち、5番と6番の「除く」の中身に注目してください。例外として書かれているのは、環境(セキュリティ対策)と提供者への確認の2つであって、「名前を伏せれば」「仮名にすれば」という話ではありません。ここは後の判定表で重要になります。
まだ大半が手つかず|使っていない学校が58.9%
「もう出遅れた」と感じる必要はありません。文部科学省の校務DXチェックリスト(令和6年9月27日〜11月8日実施・公立小中学校27,854校が回答・回答率96.6%)で、学校単位で尋ねた結果は次のとおりです。設問文は逐語で「「初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン」に基づき生成AIを校務で活用していますか。」です(設問文は旧版の名称のままですが、聞いている内容は校務での活用の有無です)。
| 回答(学校単位) | 令和5年度 | 令和6年度 |
|---|---|---|
| ほぼ全員の教職員が活用している | 0.3% | 0.5% |
| 一部の教職員が活用している(半分以上) | 0.9% | 2.2% |
| 一部の教職員が活用している(半分未満) | 22.0% | 38.4% |
| 全く活用していない | 76.7% | 58.9% |
出典:文部科学省「GIGAスクール構想の下での校務DXチェックリスト〜学校・学校設置者の自己点検結果〜〔確定値〕」令和7年3月26日(2026年8月14日確認)。対象は公立小中学校(高等学校は対象外)。各学校の自己点検結果をそのまま集計したもので、文部科学省はデータクリーニングを行っていないと明記されています。回答単位は「学校」であり、教員個人の利用率ではありません。
1年で「全く活用していない」が76.7%から58.9%へ下がった一方、「ほぼ全員の教職員が活用している」学校は0.5%しかありません。大半の学校は、まだ一部の教員が試している段階です。
よく引用される「97%が働き方の改善に効果」という数字について
この97%は、すでに教職員の半数以上が生成AIを使っている学校(全体の2.7%=0.5%+2.2%)だけに聞いた数字です。さらに設問が尋ねているのは「校務DXに取り組んだことで」の効果であって、生成AI単独の効果ではありません。当サイトはこの数字を「生成AIを使えば働き方が改善する」根拠としては使いません。
この記事より、あなたの自治体の通知が優先します
上位ルールとは、あなたの行動を実際に縛る決まりのことです。教員の場合、それは国のガイドライン → 教育委員会の通知 → 校内のルールという3階層になっており、下にいくほど強く効きます。これは当サイトの推測ではなく、国のガイドライン自身が「教育委員会の方針に基づき利活用すべきである」と書いていることから導けます。

3つの階層は、それぞれ何を決めているか
| 階層 | 何を決めているか | 根拠になる公式の記述 |
|---|---|---|
| ① 国(文部科学省ガイドライン Ver.2.0) | 考え方・原則・活用例・チェック項目 | この記事で引用しているもの全般 |
| ② 教育委員会の通知 | 使ってよいサービス・アカウント・端末の具体的な指定 | 「生成AI を学校現場で利活用する際には、教育委員会が主導して制度設計や利活用の方向性を示すことが重要である。」(p.21) |
| ③ 校内のルール | 実際の運用。誰の許可で、どの端末で使うか | 「教育情報セキュリティ管理者の指示等を遵守する必要がある」(p.15)/管理職が運用を把握し「適時確認する必要がある」(p.16) |
出典:同ガイドライン p.15・p.16・p.21(2026年8月14日確認)
なお国は、教育委員会に対して「域内の各学校の実態を十分に踏まえた柔軟な対応を講じることが必要であり、一律に禁止したり、義務付けたりするような硬直的な運用は望ましくない」(p.21)とも書いています。つまり国は一律の答えを出さないことを選んでいるため、自治体ごとに扱いが違うのは当然の帰結です。だからこそ、自分の勤務先を確認する以外に正解へ到達する方法がありません。
実際に「禁止されている」職場はある
校務DXが進んでいない理由を学校に尋ねた設問(複数回答)では、次の回答があります。
| 理由 | 割合 |
|---|---|
| 取組の実施について学校内で検討する時間がない | 42.4% |
| 教育委員会により環境面(ツール・セキュリティ等)が整備されていない | 33.5% |
| 取組の実施について教育委員会によるルールで禁止されている | 10.1% |
| 取組の実施について学校独自のルールで禁止している | 4.3% |
この設問は「校務DXの取組が進んでいない項目について」尋ねたもので、生成AIに限定した数字ではありません。出典:文部科学省「GIGAスクール構想の下での校務DXチェックリスト〜学校・学校設置者の自己点検結果〜〔確定値〕」PDF20ページ目(スライド番号19)(2026年8月14日確認)。上位項目のみ抜粋。
生成AI限定の数字ではないものの、教育委員会や学校のルールで禁止されている取組が現に存在することは読み取れます。「みんな使っているらしい」で始めると、自分の職場では禁止だった、ということが起こり得ます。
今日できる確認の手順(所要15分)
当サイトは、個々の自治体の通知を調べていません。全国に1,700以上の市区町村があり、一部だけを取り上げると偏った例示になるためです。代わりに、自分で確かめる手順を渡します。
手順1(5分) 校内で聞く相手を決める
聞く先は管理職(校長・教頭)/情報教育担当/GIGA担当のいずれかです。ガイドラインは「教育情報セキュリティ管理者には、校長を充てることが想定される」(脚注19)としています。端末やアカウントの可否は、最終的にここが決めます。
手順2(1分) 聞き方の文例
「校務で生成AIを使ってよいかについて、本市(本町)の教育委員会から通知は出ていますか。出ている場合、使ってよいサービス名と、使ってよい端末・アカウントを確認したいです」。この2点に絞ると、答える側も答えやすくなります。
手順3(5分) 教育委員会のサイトを見る
「教育情報セキュリティポリシー」「校務DX」「GIGAスクール」といった見出しの下に置かれていることがあります。通知が見つからないことは、許可されていることを意味しません。手順1に戻ってください。
手順4(4分) 使うサービスの利用規約を見る
公式チェック項目3が求めているのは「最新の利用規約を確認・遵守しているか」です。規約は変わります。入力したデータが学習に使われるかどうかは、自分で確認する側の情報です。
公式が挙げた校務の活用例14項目|今日から手をつけられるのはどれか
校務での活用例とは、ガイドラインのBox-4「教職員による校務での利活用例」(p.14)に列挙された14項目のことです。公式が名前を挙げて例示しているという意味で、最も説明のしやすい使い方です。全14項目を逐語で載せ、右端に当サイトの見立てを付けました。
| # | 区分 | 公式の活用例(逐語) | 当サイトの見立て |
|---|---|---|---|
| 1 | 授業準備 | 授業で取り扱う教材や確認テスト問題のたたき台を作成する | 今日から可(個人情報を入れずに成立する) |
| 2 | 授業準備 | 児童生徒による授業の感想の集約を行う | ★要注意(児童生徒が書いた文章そのものを渡すことになる。下の判定表を参照) |
| 3 | 授業準備 | 授業での発問に対する回答のシミュレーション相手として活用する | 今日から可 |
| 4 | 授業準備 | 授業で使用したワークシートや振り返りの内容を基にテスト問題のたたき台を作成する | ★要注意(同上) |
| 5 | 授業準備 | 校外学習の実施行程作成のたたき台を作成する | 今日から可 |
| 6 | 部活動 | 過去の部活動の練習メニュー一覧を読み込ませ、毎日の練習メニュー案を作成する | 今日から可(一覧に生徒名が入っていれば外す) |
| 7 | 生活指導 | 児童生徒等の生活実態の調査のためのアンケート案を作成する | 今日から可(公式が挙げているのは「案」の作成。回答の分析は別の話) |
| 8 | 教務管理 | 時間割・授業時数案を作成する | 可(教職員の氏名も個人情報。外して渡せる) |
| 9 | 情報発信 | 各種お便り(学年・学級だより、給食だより、保健だより等)・通知文・案内文のたたき台を作成する | 今日から可(最も始めやすい) |
| 10 | 情報発信 | 学校行事に関するHP 掲載文や報告記事のたたき台を作成する | 可(既存の著作物と同一・類似の生成物を学校HPに出す場合だけ著作権法第35条の外。FAQを参照) |
| 11 | 校内研修 | 校内研修の資料のたたき台を作成する | 今日から可 |
| 12 | 校内研修 | 研修や講演会の録画を読み込ませ、要約・議事録案を作成する | 可(発言者が特定できる氏名の扱いに注意) |
| 13 | 外部対応 | 保護者会・授業参観・保護者面談の日程調整に活用する | 可(保護者の氏名・連絡先は外す) |
| 14 | 外部対応 | 外部向け講演会の挨拶文のたたき台を作成する | 今日から可 |
左3列は出典:文部科学省ガイドライン Ver.2.0 Box-4(p.14)の逐語(2026年8月14日確認)。右端の「当サイトの見立て」は公式の記述ではなく、当サイトが上の禁止事項・チェック項目から判断したものです。
★#2と#4だけは、公式の例示と当サイトの判定がぶつかります
#2「授業の感想の集約」と#4「ワークシートや振り返りの内容を基にテスト問題のたたき台」は、公式が校務の利活用例として名前を挙げている項目です。ところが後述する当サイトの判定表では、「児童生徒が書いた作文・振り返りシートの原文」は【入力しない】としています。つまり児童生徒の書いた原文をそのまま渡す形では成立しません。成立するのは、教員が個人を特定できない形に書き直したもの、あるいは集計済みの数だけを渡す形です。判定表で【入力しない】としている情報を、公式の例示がそのまま渡す前提にしているのは、14項目の中でこの2つだけです。ここは勤務先の方針を必ず確認してください(#6・#12・#13も生徒名や連絡先を外す必要はありますが、外せば公式の例示どおりに成立します)。
★14項目を並べて分かること:公式が言っているのは「たたき台」まで
この14項目に、「所見」「通知表」「指導要録」「学習評価」は1つも含まれていません。14項目を性質で分けると、次の5種類になります。
- たたき台の作成=7項目(#1教材・確認テスト問題/#4テスト問題/#5校外学習の行程/#9お便り・通知文・案内文/#10HP掲載文・報告記事/#11研修資料/#14挨拶文)。14項目のうち7項目で「たたき台」という語がそのまま使われています
- 案の作成=3項目(#6練習メニュー/#7アンケート/#8時間割・授業時数)
- 集約・要約=2項目(#2授業の感想/#12研修の録画から要約・議事録案)
- 日程調整=1項目(#13保護者会・授業参観・保護者面談)
- 相手役=1項目(#3発問に対する回答のシミュレーション相手)
つまり公式の例示は、すべて「人が最後に仕上げる前提の下ごしらえ」か「練習の相手役」です。これは3-1(2)の記述とも一致します。
生成AI の出力はあくまでも参考の一つであることを認識し、教職員自らがチェックし推敲・完成させるなど、最後は自分で判断し、生成AI の出力を踏まえた成果物に自ら責任を持つという基本姿勢が重要である。
出典:同ガイドライン p.13(2026年8月14日確認)
ガイドラインは「生成AI から一度で求める出力がなされることを期待せず、複数回の対話の中で求める出力に近づけていく」(p.13)とも書いています。1回で完成品が出る前提で使うと、この基本姿勢から外れます。会議・研修の録画から議事録案を作る手順(項目12)はAIで議事録を作る手順に、通知文・案内文の型づくり(項目9)はChatGPTでビジネスメールの下書きを作る手順に、それぞれ校外の実務として整理してあります。
所見・通知表:手元の情報を1行ずつ判定する
所見づくりでAIを使うときに問題になるのは「AIを使ってよいか」ではなく、「その情報を打ち込んでよいか」です。所見に使う材料は、氏名・成績・出欠・配慮の記録・家庭の事情・本人が書いた文章という、教員が扱う中で最も重い情報の集まりだからです。だから判定の単位を、業務ではなく情報にします。

先に断っておきます。次の3分類は当サイトが公式の記述から組み立てたものであり、文部科学省がこの3分類を示しているわけではありません。前述のとおり、所見・通知表・指導要録という語は、当サイトが確認した公的文書に出てきませんでした。公式に書かれているのは、成績情報の入力禁止(例外あり)と個人情報の入力制限(例外あり)だけです。下の表は、その2つを所見の材料に当てはめたものです。
そのまま入力してよい場合がある=成績情報にも個人情報にも当たらないもの(①教育委員会の方針に基づくこと ②業務端末または許可を得た端末を使うこと、が前提)/置き換えて入力する=教員が自分の言葉で書き直せば個人にひもづかない形にできるもの/入力しない=書き直しでは性質が消えないもの。
★所見に使う情報の3段判定表
| 所見づくりで手元にある情報 | 当サイトの判定 | そう判定した根拠 |
|---|---|---|
| テストの点数・評定・観点別評価 | 入力しない | 「重要性の高い情報である成績情報等」に当たる。公式が「入力してはならない」と書いている唯一の情報類型(例外=個別契約等に基づき適切なセキュリティ対策が講じられた環境で運用している場合) |
| 児童生徒の氏名・出席番号・学級 | 入力しない | 個人情報。公式チェック項目6(例外=提供者が応答結果の出力以外の目的で取り扱わないことを確認している場合) |
| 障害の有無・特別な配慮の記録 | 入力しない | 要配慮個人情報の定義に「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)…があること」が挙げられている。なお「特別な配慮」は障害以外の理由(家庭の事情、日本語の指導が必要な状況など)でも生じ、その場合は要配慮個人情報に当たるとは限りませんが、個人情報である点は共通です |
| 健康診断の結果・通院や診療にかかわる記録 | 入力しない | 要配慮個人情報の定義に、健康診断等の結果、およびその結果に基づく指導・診療が行われたことが挙げられている |
| 欠席の記録と、その理由 | 入力しない | 個人情報。理由が健康・診療にかかわる場合は上の行に該当し得る |
| 生徒指導・トラブルの記録 | 入力しない | 個人情報。他の児童生徒の情報も含まれる。少年の保護事件に関する手続が行われたことは要配慮個人情報に含まれる(すべてのトラブル記録がこれに当たるという意味ではありません) |
| 家庭環境・保護者の事情 | 入力しない | 本人以外(保護者・きょうだい)の個人情報でもあるため、本人の同意の問題では処理できない |
| 児童生徒が書いた作文・振り返りシートの原文 | 入力しない | ①個人が特定できる記述を含みうる ②その児童生徒本人が書いた文章である。著作権法第35条が及ぶのは「その授業の過程における利用」であり、所見づくりが授業の過程に当たるかどうかは、当サイトが確認した資料からは判断できませんでした |
| 「よく気がつく」「発表が増えた」といった、教員が見取った人物像 | 置き換えて入力する | 氏名・日付・具体的な出来事を外し、教員が自分の言葉で書き直せば、個人にひもづかない記述にできる。ただし下の注意を必ず読む |
| 教員自身が書いた所見の下書き(固有の情報を外したもの) | そのまま入力してよい場合がある | 教員自身が書いた文章。個人が特定できる記述が残っていないかを自分で確認する |
| 所見の書式・字数制限・文体のルール | そのまま入力してよい場合がある | 個人情報でも成績情報でもない。校内文書そのものを外部に出してよいかは校内ルールに従う |
| 学年・教科・単元名など、誰にもひもづかない一般的な情報 | そのまま入力してよい場合がある | 個人情報でも成績情報でもない |
「当サイトの判定」の列は公式の分類ではありません。根拠にした公式の記述は、文部科学省ガイドライン Ver.2.0 p.15・p.24、および文部科学省「教育データの利活用に係る留意事項(第4版・公立学校編)」の要配慮個人情報の定義と、政令第2条の列挙を記した脚注22です(いずれも2026年8月14日確認)。緑=そのまま入力してよい場合がある/黄=置き換えて入力する/赤=入力しない。
★「置き換えれば入力してよい」は、記事によって正反対のことが書かれている
当サイトが2026年8月14日に読んだ教員向けの記事14本のうち、児童生徒の情報の扱いについて書いていた記事は、仮名や名簿番号に置き換えれば入力してよいとする立場と、個人を特定できる情報はそもそも入力しないとする立場に割れていました。(いずれも当サイトによる要約であり、特定の記事の引用ではありません。)両方読んだ教員は判断できません。
当サイトは、どちらが正しいかを判定しません。判定できるのはあなたの勤務先の教育委員会だけだからです。代わりに、公式の記述に立ち返って言えることを書きます。
公式が示している例外は「置き換え」の話ではない
チェック項目5(成績情報)の例外は「重要性の高い情報を扱う前提のセキュリティ対策が講じられている場合」=環境の話です。チェック項目6(個人情報)の例外は「提供者において応答結果の出力以外の目的で取り扱わないことを確認している場合」=提供者への確認の話です。この2つの注記は、いずれも「名前を伏せれば」「仮名にすれば」という言い方をしていません。(注記の全文は上のチェック項目に逐語で載せています。)
実務上の注意も1つ。氏名を外しても、学校名・学年・時期・出来事の組み合わせで個人が推測できてしまう場合があります。「6年3組の、2学期に転校してきた児童」は、氏名がなくても特定に近づきます。置き換えるなら、氏名を記号に替えるのではなく、出来事の固有部分そのものを一般的な記述に書き直すほうが安全です。生成AIに入れてはいけない情報の一般的な分類はAIに入力してはいけない情報7選にまとめています。この記事は、そこに児童生徒の情報という教育現場固有の類型を足す位置づけです。
児童生徒の情報を出さずに成立する、所見のプロンプト
上の判定表を通すと、「AIに所見を書かせる」形は成り立ちません。成り立つのは、教員が書いた下書きを、AIに整えさせる形です。順序が逆になります。
以下は私が書いた下書きです。事実を足さず、変えず、次の条件で整えてください。
・全体で90文字以内
・「〜です」「〜ます」の丁寧体
・保護者が読む前提で、決めつけに聞こえる言い切りを避ける
・書かれていない出来事や性格を、新しく足さない
・整えた文章のあとに、どこをどう直したかを箇条書きで示す
下書き:
(ここに、氏名・出席番号・日付・他の児童生徒が特定できる記述を外した自分の文章を貼る)
この文例は当サイトが作成したものです。公式が示したプロンプトではありません。
この形が成り立つ理由は3つです。①入力するのは教員自身が書いた文章(成績の数値も氏名も入らない)。②「事実を足さない」と明示しているため、AIが人物像を創作したかどうかを教員が見抜ける。③公式の言い方(たたき台・推敲・完成させる)と順序が一致する。人が書いて、AIが整えて、人が決める、という順です。
それでも、この形が誰にでも許されるわけではありません。下書きの中身は特定の児童生徒についての記述です。①勤務先の教育委員会の方針で外部の生成AIサービスの利用が認められていること ②業務端末または許可を得た端末を使うこと、という前提が崩れれば、この形も使えません。
通知表と指導要録は別の文書です
指導要録は、学校教育法施行規則第28条で保存期間が定められた文書です。同条は表簿を「五年間保存しなければならない」としたうえで、「ただし、指導要録及びその写しのうち入学、卒業等の学籍に関する記録については、その保存期間は、二十年間とする」と定めています(文部科学省「教育データの利活用に係る留意事項(第4版・公立学校編)」に抄録・2026年8月14日確認)。20年間残る記録と、その学期限りで保護者に渡す通知表では、誤りが残る時間の長さが違います。当サイトは、指導要録に生成AIを使ってよいかについて公的な記述を確認できませんでした(ガイドライン本文に「指導要録」は0件)。ここは勤務先に確認せずに手を出す領域ではないと考えます。
AIに任せてはいけない教員の業務
任せてはいけない業務とは、出力の適切性を人が判断するだけでは足りず、判断そのものを人が行うことが求められている業務のことです。ここでは、公式が名指ししているものと、当サイトの整理を分けて書きます。混ぜると、当サイトの意見が公式の見解に見えてしまうためです。
① 公式が「不適切と考えられる例」として挙げているもの
ガイドラインのBox-5(p.18)には、不適切と考えられる例が8項目あります。この8項目のうち、教師の行為について書かれているのは次の3つです。
| # | 公式の記述(逐語) |
|---|---|
| 1 | 「教師が正確な知識に基づきコメント・評価すべき場面で、教師の代わりに生成AI の出力のみに頼る」 |
| 2 | 「児童生徒の学習評価を、教師が判断せずに生成AI からの出力をもって行う」 |
| 3 | 「教師が専門性を発揮し、人間的な触れ合いの中で行うべき教育指導を実施せずに、生成AI のみに相談させる」 |
出典:同ガイドライン Box-5(p.18)(2026年8月14日確認)。Box-5の箇条書き8件を1件ずつ数え、主語が「教師」のものを抜き出しました。
この3項目の読み方を、正確に
この8項目は、「児童生徒が学習活動で利活用する場面」(3-2)の中に置かれた囲みです。ただし上の3項目の主語は「教師」です。校務としての所見作成について述べたものかどうかは、この記述からは分かりません。
また、2つ目には「教師が判断せずに」という条件が付いています。ここから「教師が判断すれば所見にAIを使ってよい」を導くことはできません。それは公式が書いていない、逆向きの結論だからです。この記述から読み取れるのは、教師が判断せずに生成AIの出力をもって学習評価を行うことは不適切とされている、というところまでです。
★3つ目は、意味を取り違えやすいので注意してください。文末は「相談させる」という使役形です。実際に相談するのは教師ではなく児童生徒であり、これは教師が本来向き合うべき場面で子どもの相談相手にならず、子どもを生成AIだけに向かわせることを不適切としたものです。教師が自分の判断を生成AIに委ねることを述べたものではありません。Box-5の他の項目も「安易に使わせる」「定期考査や小テスト等で使わせる」のように、教師が児童生徒にさせる行為で書かれています。
② ①を業務名に落とす(ここから先は当サイトの整理です)
下の表は、①の1つ目・2つ目(教師がコメント・評価や学習評価を生成AIの出力で行うことについての記述)と、成績情報・個人情報の入力制限をあわせて、当サイトが業務名に落としたものです。いずれも、上の判定表を通すとそもそも入力段階で止まります。公式は業務名で列挙しているわけではないので、右端の対応づけは当サイトの判断です。①の3つ目(相談させる)は、上のとおり児童生徒の相談相手の話なので、下の表には使っていません。
| 業務 | 止まる理由 | ①のどれに近いか |
|---|---|---|
| 評定・観点別評価の確定 | 成績情報そのものを入力しなければ成立しない | ①-2(学習評価) |
| 指導要録の記載内容の決定 | 成績情報と個人情報の両方を含む。20年保存される記録でもある | ①-2(学習評価) |
| いじめ・生徒指導の事実認定と対応方針の決定 | 複数の児童生徒の個人情報を含む。要配慮個人情報に当たり得る記述も含む | ①には当たらない(①-1・①-2はコメント・評価と学習評価についての記述)。個人情報・要配慮個人情報の入力制限が根拠 |
| 進路指導の最終的な助言 | 成績情報と家庭の事情を前提にしなければ成立しない | ①には当たらない。成績情報・個人情報の入力制限が根拠 |
| 保護者対応の方針決定 | 保護者という本人以外の個人情報を含む | ①には当たらない。個人情報の入力制限が根拠 |
| 特定の児童生徒の作品への評価の確定 | 本人の著作物と個人情報の両方を扱う | ①-1(コメント・評価) |
左2列は当サイトの整理です。文部科学省はこれらを業務名で列挙しているわけではありません。右端の列は、①で引用した公式の3項目のうち、どれに最も近いかを当サイトが対応づけたものです。①の3つ目(相談させる)は児童生徒の相談相手についての記述なので、対応づけに使っていません。判断の根拠は、①の1つ目・2つ目と、上の判定表と同じ2つ(成績情報の入力禁止・個人情報の入力制限)です。
「文章を整える」ところまでなら、AIを使える業務もあります。たとえば保護者への連絡文の言い回しを整える作業は、対応方針を決めたあとの工程です。決めるのは人、書き直すのはAI——この順序を崩さない限り、上の6つも部分的には使えます。他の職種で同じ線引きをどう引いているかは、事務職がChatGPTに任せられる10パターンと確認する箇所にまとめています。
よくある質問
教員がChatGPTを校務に使うのは、文部科学省的に問題ないのですか?
ガイドラインは「生成された内容の適切性を判断できる範囲内で利用するという前提で、校務において生成AI を積極的に利活用することは有用であると考えられる」(p.13)と書いています。ただしこれは国の考え方であって、あなたの職場の可否ではありません。同じガイドラインが「教育委員会の方針に基づき利活用すべきである」(p.15)と書いており、校務DXの調査では「教育委員会によるルールで禁止されている」10.1%という回答が実在します(生成AI限定ではなく校務DX全般の設問)。まず勤務先を確認してください。
通知表の所見をChatGPTに書かせてもいいですか?
当サイトは「よい」とも「いけない」とも言えません。所見・通知表・指導要録という語は、当サイトが確認した公的文書に出てきませんでした(ガイドライン本文全33ページで0件)。言えるのは次の3つです。①成績情報のプロンプト入力は「してはならない」と明記されている(適切なセキュリティ対策が講じられた環境で運用している場合を除く)②個人情報の入力にも制限がかかっている(提供者が応答結果の出力以外の目的で扱わないと確認できている場合を除く)③公式の校務利活用例14項目に、所見・通知表・指導要録は入っていない。この3点から、勤務先の教育委員会の規程を確認せずに手を出す領域ではない、というのが当サイトの立場です。
児童生徒の名前を「Aさん」に置き換えれば、入力してよいですか?
この点は解説記事によって正反対のことが書かれています。公式のチェック項目が示している例外は「置き換え」ではなく、①適切なセキュリティ対策が講じられた環境であること ②提供者が応答結果の出力以外の目的で取り扱わないと確認できていること、の2つです。また実務上、氏名を伏せても学校名・学年・時期・出来事の組み合わせで個人が推測できる場合があります。置き換えるなら、記号に替えるのではなく、出来事の固有部分そのものを一般的な記述に書き直してください。最終的な可否は勤務先の教育委員会の通知に従ってください。
自分のスマホのChatGPTアプリで、授業準備をしてもいいですか?
ガイドラインは「私用アカウントや教育情報セキュリティ管理者の許可を得ていない私用端末を用いてはならない」(p.15)と書いています。教員に対する2つの強い禁止のうちの1つです。個人情報を含まない教材のたたき台であっても、使う端末とアカウントの条件は別に効きます。まず校内で、業務端末で使える環境があるかを確認してください。
AIで作った教材やイラストを、学級通信や学校のホームページに載せてもいいですか?
著作権法第35条は、学校その他の教育機関で「その授業の過程における利用に供することを目的とする場合」に著作物を複製等できるとする規定です。ガイドラインは、「教師が、既存の著作物と同一又は類似のものを、学校のHP に掲載することや、保護者向けの学級通信や職員会議・PTA 活動で利用するなどの授業目的の範囲を超えて利用する場合は、授業の過程における利用には当たらず、同条が適用されないため、他の権利制限規定の適用がない場合は著作権侵害となる可能性がある。」と書いています(p.16)。
公式が条件にしているのは「既存の著作物と同一又は類似のもの」である点を落とさないでください。公式は著作権侵害となるかどうかを「類似性(創作的表現が共通していること)」と「依拠性(既存の著作物を基に創作したこと)」で判断されるとしており(p.11)、既存の著作物と類似していない生成物であれば、この論点は生じません。だから公式は、確認の手順として「AI による生成物については、その利用に先立って、インターネット検索等により、既存の著作物と類似していないかを確認すること」と「生成に用いたプロンプトなど、生成物の生成過程を確認可能な状態にしておくこと」を挙げています(p.12)。先に類似していないかを確かめる。そのうえで外に出す——という順序です。
まとめ
- 教員の校務利用について、文部科学省のガイドライン(Ver.2.0・令和6年12月26日)が「してはならない」と書いているのは2つだけです。①私用アカウント・許可のない私用端末での利用 ②成績情報等のプロンプト入力(個別契約等に基づき適切なセキュリティ対策が講じられた環境で運用している場合を除く)。校務利用そのものは「積極的に利活用することは有用」とされています。
- 所見・通知表・指導要録という語は、ガイドライン本文(全33ページ)に1度も出てきません。当サイトが2026年8月14日に全文検索して0件でした。だから「公式が認めている」も「公式が禁じている」も書けません。
- 所見に使う情報は、業務ではなく情報の種類で仕分けてください。成績の数値・氏名・障害や健康の記録・生徒指導の記録・児童生徒が書いた文章は入力しない。教員自身が書いた下書きと、誰にもひもづかない情報だけが残ります。
- 成り立つのは「AIに所見を書かせる」形ではなく、「教員が書いた下書きをAIに整えさせる」形です。公式が例示している14項目も、7項目で「たたき台」という語を使っており、下ごしらえか練習の相手役に限られています。
- 公式が「不適切」と名指ししている教師の行為は3つです(Box-5・p.18)。ただしいずれも児童生徒の学習場面についての記述であり、校務としての所見作成や生徒指導について述べたものかどうかは、この記述からは分かりません。
- 最後に効くのは、この記事でも文部科学省でもなく、あなたの勤務先の教育委員会の通知です。ガイドライン自身が「教育委員会の方針に基づき利活用すべきである」と書いています。
次にやること:明日、校内で1人に聞いてください。「校務で生成AIを使ってよいかについて、教育委員会から通知は出ていますか。使ってよいサービス名と、使ってよい端末・アカウントを知りたいです」。この2点だけで、あなたが今日から何をしてよいかが決まります。答えが「通知はまだ無い」であっても、それは重要な答えです。公立小中学校の58.9%が「全く活用していない」段階なので、最初に聞く人になっても遅れているわけではありません。
出典
本記事で参照した公式情報は、すべて2026年8月14日にリンク先を開いて内容を確認しています。PDFはページ全体をテキスト化したうえで検索・引用しました。逐語引用にあたっては、原文に付いている脚注番号(「教育情報セキュリティ管理者19の許可」等の数字)を表示せずに省いています。それ以外の省略には「…」を入れています。
- 文部科学省「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン(Ver.2.0)」(PDF)令和6年12月26日/全33ページ(掲載ページ:生成AIの利用について/生成AI特設ポータル)
- 文部科学省「教育データの利活用に係る留意事項(第4版・公立学校編)」(PDF)令和8年4月/全141ページ(掲載ページ:教育データの利活用)※要配慮個人情報の定義と、学校教育法施行規則第28条の抄録はこの文書から引用しました。なおガイドラインVer.2.0の脚注22は令和6年3月の第2版を参照しているため、最新版はこちらです
- 個人情報保護委員会「生成AI サービスの利用に関する注意喚起等」令和5年6月2日(注意喚起本文・PDF)
- 文部科学省「教員勤務実態調査(令和4年度)の集計(確定値)について」(PDF)令和6年4月4日公表(掲載ページ:教員勤務実態調査)
- 文部科学省 学びの先端技術活用推進室「学校現場における生成AIの利活用〜ガイドラインとその実践例〜」(PDF)2025年8月20日の説明資料/全23ページ ※通知やガイドラインではなく、文部科学省担当室の説明スライドです。本記事では「探した範囲」の1件として全文検索にのみ使用し、内容の引用はしていません
- 文部科学省「GIGAスクール構想の下での校務DXチェックリスト〜学校・学校設置者の自己点検結果〜〔確定値〕」(PDF)令和7年3月26日(掲載ページ:校務DXチェックリスト)
- 著作権法(昭和45年法律第48号)第35条/e-Gov法令検索(令和8年6月24日施行の版)
- 文部科学省「セキュアな環境での生成AIの校務利用に関する実証研究事業(令和7年度実施)」※事業名の存在のみ確認しています。事業ページの本文は未確認です
この記事の書き方について。数字と引用は、すべて上の一次情報から直接取りました。公的な記述が確認できなかったところは「確認できなかった」と書き、探した範囲(文書名・検索した語・件数)を本文に載せています。公式が書いていないことを、書いてあるかのように補ってはいません。


コメント