ITパスポートに生成AIは出るのか|シラバスの5か所と覚える用語

ITパスポートに生成AIが出るかを公式シラバスで確認した記事のアイキャッチ AIの基本

ITパスポートのテキストを開くと、生成AIの説明はページの隅に数行あるだけのことがあります。「本当に試験に出るのか」「出るなら、どこを覚えればいいのか」は教材だけでは判断できません。

結論|ITパスポートに生成AIは出る

  • 出ます。IPAが2023年8月7日に発表した改訂(シラバスVer.6.2)で追加され、2024年4月の試験から出題対象になっています。現行のVer.6.5(2026年1月8日掲載)にも同じ内容が残っています。
  • 載っている場所は少なくとも5か所(ビジネスシステム・著作権法・情報倫理・AIの技術・攻撃手法)。IPAがプレス発表で例示したのは、このうち2か所にあたる3つの追加。
  • 2027年度に予定される新試験制度の案では、「AI利活用」という中分類が新設され、その中に「生成AI利活用」が独立した小分類として置かれる見通し(案の段階)。今のシラバスにある用語は、案の中にもほぼそのまま残っています。

この記事はIPAとITパスポート試験センター(jitec.ipa.go.jp)の一次情報だけを根拠にしています。参照ページは末尾の出典欄にまとめ、2026年9月7日に表示を確認しました。公式に記載を見つけられなかったことは「見つけられませんでした」とそのまま書きます。

結論:ITパスポートに生成AIは「出る」――2024年4月の試験から

ITパスポート試験は、IPAが定めるシラバスに沿って出題される国家試験で、生成AIに関する記載は2023年8月の改訂で加わりました。そもそもAI資格を取る意味に迷っている場合はAI資格は意味ないのか|「意味ない」と言われる理由を3つに分けると、自分の答えが出るも参考になります。

IPAは2023年8月7日、「生成AI関連の記載をデジタルスキル標準とITパスポート試験に追加」というプレス発表を公開しました。改訂後のシラバスはVer.6.2、適用時期は「2024年4月の試験から」。経緯は下の年表のとおりです。

時期 できごと
2023年7月 シラバスVer.6.1掲載。生成AI・ハルシネーション・基盤モデルなど、いまの関連語は全文照合でも1つも確認できません
2023年8月7日 シラバスVer.6.2を公開・同日プレス発表
2023年8月31日 生成AIに関するサンプル問題(3問)を公開
2024年4月 改訂を受けた出題を開始(予定として告知)
2026年1月8日 現行シラバスVer.6.5を掲載
2026年8月31日 2027年度新制度のシラバス案Ver.0.1を掲載
2027年度 新試験制度の開始を予定(開始日・出題数などは公式ページで見つけられず)

IPAが2023年8月7日に発表した中身

プレス発表は「AIに関する既存の記載に生成AI関連の記載を拡充したほか、法務やセキュリティに関する項目にも生成AI関連の記載を新たに追加しています」とし、追加先は法務・セキュリティにもまたがります。デジタルスキル標準(DSS)側の追加はITパスポートの出題項目ではないため区別します。

「まだ出ない」という情報は2023年以前のもの

2023年7月掲載のVer.6.1を以降のVer.6.2・Ver.6.3と機械で全文照合したところ、今の関連語はVer.6.1には1つも見つからず、Ver.6.2で一斉に加わっています。「出ない」という情報を見かけたら2023年8月より前の話とみてよいでしょう。

IPAがプレス発表で例示した3つの追加

IPAは2023年8月7日のプレス発表で、シラバスに加えた変更のうち3つを具体例として挙げています。原文は「例えば」で始まる例示で、追加はこの3つに限られるとは書かれていません。

番号 シラバスの項目(原文) 追加された文(原文に近い形) Ver.6.5の本文p.
① AIの活用領域及び活用目的 生成AIの活用(文章の添削・要約,アイディアの提案,科学論文の執筆,プログラミング,画像生成など) p.19
② AIを利活用する上での留意事項 AIの出力データにおける,誤った情報,偏った情報,古い情報,悪意ある情報(差別的表現など),学習元(出典)が不明な情報が含まれる可能性 など p.19
③ 著作権法 AIが学習に利用するデータ,AIが生成したデータについて,それぞれ著作権の観点で留意する必要があること p.9

①生成AIの活用/②AIの出力データの留意点/③著作権法

①②は「ビジネスシステム」の、AIの使い方と留意事項の欄にそれぞれ加わりました。③は「企業と法務」の著作権法の項目で、学習データと生成物それぞれの著作権上の留意点が書き加えられています。

「3つ」はIPAが挙げた例。実際の追加はもっと広い

「IPAが追加した項目は3つ」という数え方はIPA自身の表現ではありません。原文は①②③を「例えば」として挙げ「などを追加」と続けており、これ以外の追加箇所もあります。Ver.6.5の本文を確認すると、生成AI関連の記載は次のH2で示す少なくとも5か所にまたがっています。

シラバスVer.6.5の「どの行」にあるか――生成AI関連語が載っている少なくとも5か所

現行シラバスVer.6.5(2026年1月8日掲載)で、生成AI関連の記載は分野をまたいで少なくとも5か所あります。

分野 大分類>中分類>項目 本文p. 載っている用語・記載の中身
ストラテジ系 経営戦略>ビジネスインダストリ>ビジネスシステム(4)AIの利活用 p.19 用語例:生成AI,マルチモーダルAI/活用例:生成AIの活用/留意事項:ハルシネーション,ディープフェイク,XAI,HITL,AIサービスのオプトアウトポリシー
ストラテジ系 企業と法務>法務>知的財産権(1)著作権法 p.9 学習・生成データの著作権上の留意点(上の③と同じ)
ストラテジ系 企業と法務>法務>その他の法律・ガイドライン・情報倫理(2)情報倫理 p.12 学習・生成データの個人情報保護,プライバシー,秘密保持の留意点
テクノロジ系 基礎理論>基礎理論>情報に関する理論(5)AIの技術 p.37 説明:基盤モデル/用語例:大規模言語モデル(LLM),プロンプトエンジニアリング ほか
テクノロジ系 技術要素>セキュリティ>情報セキュリティ(4)攻撃手法 p.58 用語例:プロンプトインジェクション攻撃,敵対的サンプル

ストラテジ系:ビジネスシステム/著作権法/情報倫理

ストラテジ系(経営全般)には3か所あります。ビジネスシステムにはAIの活用例と留意事項が、著作権法と情報倫理には学習・生成データの取り扱いの留意点がそれぞれ加わっています。

テクノロジ系:AIの技術/攻撃手法

テクノロジ系(IT技術)には2か所あります。「情報に関する理論」にAIの仕組み(基盤モデル・LLM・プロンプトエンジニアリング)が、「情報セキュリティ」にAIに関わる攻撃手法(プロンプトインジェクション攻撃・敵対的サンプル)が用語例として並びます。

「生成AI」という言葉で検索すると2件しか出ない理由

Ver.6.5の本文を「生成AI」という言葉そのもので機械検索すると、ヒットするのはビジネスシステム(p.19)の用語例と活用例の2か所だけです。基盤モデル・LLMなど関連用語まで含めると、記載がある場所は上の表の少なくとも5か所に広がります。この記事の「少なくとも5か所」は関連語を含めた位置を指します。

実際にどんな問題になるか――IPAが公開しているサンプル問題

IPAは本試験とは別に、生成AI関連の出題例として2023年と2026年にサンプル問題を公開しています。

2023年8月31日公開の「生成AIに関するサンプル問題」は3問。問1は生成AIの活用事例を問い、正解は「自然言語で指示してE-R図等を描くコードを出力させる」という選択肢。問2は事実と異なる情報をもっともらしく生成する事象を問い、正解は「ハルシネーション」。問3は基盤モデルの特徴を問い、正解は「大量のデータを事前学習し、その後の微調整で幅広い用途に適応できる」という選択肢でした。

(出典:ITパスポート試験 生成AIに関するサンプル問題)

新制度向けサンプル問題(2026年8月31日掲載)にも生成AIの問題があります。生成AIサービスを事業で使う場面の留意点を選ぶ問題で、正解は「秘密保持契約に抵触するおそれ」「個人情報の第三者提供に該当するおそれ」「得られた情報に誤りが含まれるおそれ」の3つすべてを含む選択肢でした。IPAは「実際の試験と同様の問題作成やチェックのプロセスを経たものではありません」と注記しています。

シラバス由来の覚える用語チェックリスト

  • ハルシネーション
  • ディープフェイク
  • マルチモーダルAI
  • 基盤モデル
  • 大規模言語モデル(LLM)
  • プロンプトエンジニアリング
  • プロンプトインジェクション攻撃
  • 敵対的サンプル(Adversarial Examples)
  • 説明可能なAI(XAI)
  • ヒューマンインザループ(HITL)
  • AIサービスのオプトアウトポリシー

本試験で生成AIが何問出るかは公開されていない

本試験で生成AI関連が何問出るかは、公式では確認できませんでした(2026年9月7日確認)。試験センターは「試験問題は非公開です」としつつ毎年4月頃に公開問題100問を掲載すると案内していますが、公開問題PDFは文字が画像化され機械検索できず、確かめられませんでした。言えるのは「出題範囲に入っている」までです。生成AIそのものを深く問う民間資格の難易度は生成AIパスポートの難易度|全10回の合格率と、非開示の合格ラインで扱っています。

2027年度の新試験制度で生成AIはどう変わるか(案)

IPAは2027年度から新試験制度を始める予定で、そのシラバス案(Ver.0.1、2026年8月31日掲載)にも生成AI関連の記載があります。IPAは「内容は公表時点の検討状況に基づくものであり、変更する可能性があります」と明記しており、案の段階として扱います。

現行Ver.6.5の位置 2027年度案Ver.0.1の位置 案に載る用語(例)
ビジネスシステム(4)AIの利活用 データ・AIの利活用>AI利活用>生成AI利活用 RAGによる知識連携,ランダム性の制御
(現行には対応する項目なし) 同上>AIエージェント利活用(新設) AIエージェント,自律性と人間の関与,ガードレール
情報に関する理論(5)AIの技術 デジタル技術>AI技術>生成AI技術 コンテキスト内学習,トークン,検索拡張生成(RAG)
情報倫理・著作権法 倫理・コンプライアンス>情報倫理・AI倫理 ハルシネーション,ディープフェイクなど現行の用語がそのまま並ぶ
攻撃手法(セキュリティ) セキュリティ(中分類23) プロンプトインジェクションなど現行の用語がそのまま並ぶ

「生成AI利活用」が独立の小分類になる案

現行シラバスでは、生成AIは「ビジネスシステム」の一部として扱われています。2027年度案では「AI利活用」という中分類の独立した小分類「生成AI利活用」になり、「AIエージェント利活用」という新しい小分類も加わる案になっています。

今の勉強が無駄にならない理由

Ver.6.2からVer.6.5の間、生成AI関連の記載は表記整理はありましたが内容は変わっていません。2027年度案でもハルシネーション・ディープフェイク・プロンプトインジェクションなど現行の用語はほぼ引き継がれ、RAGやAIエージェントが積み増しされる形になっています。今の用語を覚えておくことは新制度になっても無駄にはなりません。技術を体系的に学びたい場合はG検定の難易度は?合格率19回分を再計算|勉強時間・費用も公式データだけでも参考になります。開始日・出題数・試験時間・合格基準は、確認した公式ページに記載を見つけられませんでした(2026年9月7日確認)。

試験の基本情報

ITパスポート試験は、経営・IT管理・IT技術の3分野(大分類9)から100問を四肢択一で問うCBT方式の国家試験です。

項目 内容
試験時間 120分
出題数(小問) 100問(四肢択一式)
出題分野の目安 ストラテジ系35問程度・マネジメント系20問程度・テクノロジ系45問程度
合格基準 総合評価点600点以上、かつ分野別評価点(3分野)がそれぞれ300点以上(いずれも1,000点満点)
評価に使う問数 92問(残り8問は今後の出題評価用で採点対象外)
採点方式 IRT(項目応答理論)
受験手数料 7,500円(消費税込み)。理由を問わず返還されません

直近の令和8年7月度の合格率は48.3%、4月度から7月度までの累計合格率は50.0%でした(2026年9月7日確認)。累計の応募者のうち社会人の79.0%は非IT系です。

場面別の答え

受験のタイミングで、今から覚えておくべきことは変わります。近いうちにVer.6.5で受ける人は上の表の少なくとも5か所とチェックリストの用語で、シラバス上の該当箇所はおさえられます。2027年度の新制度になってから受ける人も、現行の用語がほぼ引き継がれる見通しなので今のうちに覚えて無駄にはなりません。生成AIそのものをもっと深く問われたい人は、生成AIパスポートやG検定といった民間資格も検討の余地があります。

よくある質問

シラバスのどこに「生成AI」と書いてありますか。

「生成AI」という言葉そのものは、現行Ver.6.5の本文p.19(ビジネスシステム)の用語例と活用例の2か所です。関連用語まで含めると、著作権法(p.9)・情報倫理(p.12)・AIの技術(p.37)・攻撃手法(p.58)を加えた少なくとも5か所に記載があります。

生成AIの問題は何問出ますか。

公開されていません。試験問題は非公開で、IPAは分野別の出題数までしか示していないため、この記事では確認できませんでした。

どんな用語を覚えればいいですか。

シラバスの用語例にあるハルシネーション・基盤モデル・大規模言語モデル(LLM)・プロンプトインジェクション攻撃などです(上のチェックリスト参照)。サンプル問題ではハルシネーションが正解の選択肢に、基盤モデルが設問の主題になっています。

2027年度に試験制度が変わると聞きました。今の勉強は無駄になりますか。

無駄にはならないとみられます。シラバス案Ver.0.1では「AI利活用」という中分類が新設され、その中に「生成AI利活用」が独立した小分類として置かれる案が示されていますが、現行の用語はほぼそのまま残っています。案は変更の可能性があるとIPAは明記しています。生成AIパスポートやG検定との違いは生成AIパスポートとG検定はどちらを受けるか|迷ったら、受験料より先に見る3つを参考にしてください。

まとめ

  • ITパスポートに生成AIは出ます。2023年8月7日のシラバス改訂(Ver.6.2)で加わり、2024年4月の試験から出題対象。現行Ver.6.5(2026年1月8日掲載)にも同じ内容が残っています。
  • 載っている場所は少なくとも5か所(ビジネスシステム・著作権法・情報倫理・AIの技術・攻撃手法)。IPAがプレス発表で例示した3つは、このうちの2か所にあたります。
  • 本試験で生成AIが何問出るかは非公開で確認できません。言えるのは「出題範囲に入っている」まで。
  • 2027年度の新制度案では「AI利活用」という中分類が新設され、その中に「生成AI利活用」が独立した小分類として置かれる見通し。現行の用語はほぼ引き継がれます。
  • より詳しい資格選びは生成AIパスポートとG検定はどちらを受けるか|迷ったら、受験料より先に見る3つを参照。

出典

以下はすべて2026年9月7日に開いて表示を確認済み。

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