生成AIの社内研修を任されたが、教材をゼロから作る時間も予算もない。「公的機関が無料で出しているらしい」とは聞いたものの、どれを選べばいいのか、そのまま社内に配ってよいのかが分からない——という段階からこの記事は始まります。
この記事が扱うのは、総務省・文部科学省・デジタル庁が無料で配っている生成AI教材4本の見分け方だけです。社内での生成AIの使い方のルール自体を作る話は社内のAI利用ルールの作り方で、中小企業がどこから生成AI導入を始めるかは中小企業の生成AI導入ガイドで扱っています。
この記事の結論(先に3つだけ)
- 今回調べた4本は、どれも会員登録や申込フォームなしで無料でダウンロードできます。ただし、無料であることと社内に配ってよいことは別です。
- PowerPoint形式でそのまま研修スライドに使えるのは、4本のうち総務省の教材だけです。他の3本はPDFのみで配布されています。
- ただし、その総務省の教材だけが使用前にご連絡くださいと求めています。今回調べた4本のうち、事前連絡を求めているのは総務省だけでした。

| 教材 | 発行元 | 対象 | 分量 | 形式 | 二次利用条件(要点) |
|---|---|---|---|---|---|
| 生成AIはじめの一歩 ver1.0 | 総務省 | 国民(初心者) | 75ページ | PDF+PowerPoint | ⛔ 使用前に連絡を求めている |
| 生成AI利活用ガイドライン Ver.2.0 | 文部科学省 | 教育委員会・学校 | 33ページ | PDFのみ | 複製・翻案・商用利用が自由(CC BY互換) |
| AI事業者ガイドライン 第1.1版 | 総務省・経済産業省 | 事業者 | 未確認 | PDFのみ | 配布元サイトの規約=公共データ利用規約(第1.0版) |
| DS-920(生成AI調達・利活用ガイドライン) | デジタル庁 | 行政機関の職員 | 61ページ | PDFのみ | 出典記載+編集・加工した旨の明記が必要 |
この記事の根拠|確認した資料と、当サイトが確かめていないこと
ここに出てくる事実は、2026年8月20日に、4本のPDFを実際にダウンロードしてページ数を数え、各省庁の利用規約ページを個別に開いて記載を確認したものだけです。当サイトはこれらの教材を使って研修を実施したことはありません。
1|当サイトはこれらの教材で研修を実施していません。「使ってみた」「配ってみた」という話は、この記事に一行もありません。書いているのは、公式ページの記載と、ファイルを開いて確認できた事実だけです。
2|AI事業者ガイドラインのページ数は確認できませんでした。PDFがオブジェクトストリーム形式で圧縮されており、ページ数を数える通常の方法(PDF内部のページオブジェクトを数える方法)では取得できませんでした。検索結果の要約にもページ数の記載はありませんでした。推測でページ数を書くことはしません。
3|4本とも、二次利用の条件について確認したのは配布元サイトの利用規約までです。PDF本体の表紙・奥付に、サイト共通の規約とは別の個別の利用ルールが書かれていないかは確認していません。
判断基準|教材を選ぶときに見る4つの欄
教材を仕分けるときに見る欄は、対象・分量・形式・二次利用条件の4つです。このうち、社内研修で配る前にいちばん大事なのは二次利用条件です。無料で公開されていることと、社内の研修で自由に配ってよいことは、別の話だからです。
| 欄 | 見るポイント |
|---|---|
| 対象 | 誰向けに作られた教材か(国民全体向けか、事業者向けか、行政機関向けか)で、社内研修に合う内容かが変わる |
| 分量 | 1時間の研修に収まる分量か。今回の4本は33〜75ページ(1本は未確認) |
| 形式 | PowerPointならそのままスライドとして映せる。PDFのみだと、抜粋してスライド化する手間がかかる |
| ⛔二次利用条件 | 複製・改変してよいか、出典の記載が要るか、使用前の連絡が要るか。教材ごとに違う |

総務省「生成AIはじめの一歩」ver1.0|75スライド・PowerPoint配布・使用前に連絡が要る
総務省「生成AIはじめの一歩~生成AIの入門的な使い方と注意点~」(PDF表紙の表記はver1.0)とは、生成AIに触れる国民(初心者)向けに、総務省 情報流通行政局が作成した全75ページの教材です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 今後の生活の中で生成AIに触れうる国民の方(初心者) |
| 分量 | 75ページ(PDFのページ数を実測) |
| 形式 | PDFとPowerPoint(.pptx)の両方を配布 |
| その他 | 各スライドに講師用の話す内容のメモつき |
この教材の特徴は、講師用メモつきでPowerPointがそのまま配られている点です。総務省の配布ページには、こう書かれています。
「PPTXのデータのノート欄に、各スライドで話す内容の参考となるメモを記載していますので、必要に応じてご活用ください。」
総務省「生成AIはじめの一歩」配布ページ・2026年8月20日確認
内容を編集することも認められています。
「また、講座の実施時間や進め方などに応じて内容を編集していただけます。」
同ページ・2026年8月20日確認
ただし、使用する前に、次の一文が置かれています。
「本教材をご使用の際は、下記連絡先まで事前にご連絡いただきますよう、お願いいたします。※担当者より、実施講座の概要や資料編集の有無等をご確認させていただきます。」
同ページ・2026年8月20日確認
逐語のとおり「お願いいたします」という表現であり、著作権法上の義務とまでは書かれていません。ただし、実際に社内研修で使う予定であれば、このお願いに従って事前に連絡しておくのが確実です。4本中、教材そのもののページで「使用前の連絡」を個別に求めているのは、この総務省の教材だけでした。
文部科学省「生成AI利活用ガイドライン」Ver.2.0|33ページ・複製も翻案も自由
文部科学省「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン」Ver.2.0とは、令和6年12月26日に文部科学省 初等中等教育局が公表した、教育委員会・学校現場向けの全33ページのガイドラインです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 教育委員会・学校現場(初等中等教育段階) |
| 分量 | 33ページ(PDFのページ数を実測) |
| 形式 | PDFのみ |
| 公表日 | 令和6年12月26日 |
この教材の二次利用条件は、文部科学省ウェブサイト利用規約に従います。
「文部科学省ウェブサイト(※)で公開している情報(以下「コンテンツ」といいます。)は、どなたでも以下の1)~6)に従って、複製、公衆送信、翻訳・変形等の翻案等、自由に利用できます。商用利用も可能です。」
文部科学省ウェブサイト利用規約・2026年8月20日確認
利用する際は出典の記載が求められており、この利用規約はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス(CC BY)と互換性があるとも明記されています。
「本利用ルールは、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの表示4.0国際(https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/legalcodeに規定される著作権利用許諾条件。以下「CC BY」といいます。)と互換性があり、本利用ルールが適用されるコンテンツはCC BYに従うことでもコンテンツを利用することができます。」
同規約・2026年8月20日確認
今回調べた4本のうち、CC BY互換を明文で書いているのは文部科学省だけでした。形式はPDFのみのため、社内研修のスライドとして使うには抜粋してスライド化する手間はありますが、複製・改変・商用利用の自由度は4本の中でいちばん高い教材です。教育機関でChatGPTを使う場面については教員のChatGPT活用ガイドもあわせてご覧ください。
AI事業者ガイドライン 第1.1版|事業者向け・ページ数は未確認
AI事業者ガイドライン(第1.1版)とは、令和7年3月28日に総務省・経済産業省が公表した、AIの開発者・提供者・利用者(事業者)向けのガイドラインです。本編・別添(付属資料)・概要の3種類が別々のPDFファイルで配布されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 事業者(AIの開発者・提供者・利用者) |
| 分量 | 未確認 |
| 形式 | PDFのみ(本編・別添・概要の3ファイル) |
| 公表日 | 令和7年3月28日 |
この教材は総務省サイトと経済産業省サイトの両方で配布されており、どちらのサイトの利用規約を見ても、次のとおり同じ規約が示されています。
「『公共データ利用規約(第1.0版)』に準拠した利用条件の下で利用することができます」
総務省ウェブサイト著作権ページ・2026年8月20日確認
経済産業省のウェブサイト利用規約でも、同じく「公共データ利用規約(第1.0版)」と記載されています。ただし、当サイトが確認したのは配布元サイトの規約までです。PDF本体の表紙・奥付に、サイト共通の規約とは別の個別ルールが書かれていないかまでは確認していません。この点は本文冒頭の限界の欄でも述べたとおりです。ページ数についても未確認のため、1時間の研修に収まる分量かどうかは、ダウンロードして自分の目で確かめる必要があります。
デジタル庁 DS-920|61ページ・出典と加工した旨の明記が必要
デジタル社会推進標準ガイドラインDS-920「行政の進化と革新のための生成AIの調達・利活用に係るガイドライン」とは、2025年5月27日にデジタル庁が公表した、行政機関の職員・調達担当向けの全61ページのガイドラインです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 行政機関(各府省庁)の職員・調達担当 |
| 分量 | 61ページ(PDFのページ数を実測) |
| 形式 | PDFのみ |
| 公表日 | 2025年5月27日 |
二次利用条件は、デジタル庁コピーライトポリシー(公共データ利用規約 第1.0版)に従います。出典の記載に加えて、編集・加工して使う場合は、その旨と主体を書くことが求められています。
「本コンテンツを編集・加工等して利用する場合は、上記出典とは別に、編集・加工等を行ったこと及びその主体を記載してください。なお、編集・加工した情報を、あたかも国又は府省等(本コンテンツの提供者が地方公共団体等の公的機関の場合はその地方公共団体等の公的機関)が作成した未加工のままであるかのような態様で公表・利用してはいけません。」
デジタル庁コピーライトポリシー・2026年8月20日確認
対象が行政機関の職員・調達担当であるため、一般企業の社内研修にそのまま使うには内容の距離があります。ただし、生成AIを調達・導入する際の考え方の骨組みとして参考にする分には、出典と加工した旨さえ明記すれば利用できます。
用途別|あなたの会社ならどれ
ここまでの4本を、研修の目的別に整理すると次のとおりです。
| 目的 | 合う教材 | 注意点 |
|---|---|---|
| 全社員向けに1時間の入門研修をしたい | 総務省「生成AIはじめの一歩」 | 使用前に総務省へ連絡してから使う |
| 学校・教育関連の職場で研修したい | 文部科学省の教材 | PDFのみのため抜粋してスライド化する手間がある |
| 事業として生成AIを使う・取引先に説明したい | AI事業者ガイドライン | 分量が未確認のため、まずダウンロードして確かめる |
「4本のどれも、自分で読み込んで社内向けに作り直すほどの余裕はない」という場合は、教材を選ぶ前にAI初心者は何から始めればいいかで、そもそも何を押さえればよいかを先に確認するほうが早いこともあります。
よくある質問
Q. 4本とも本当に無料ですか?
A. はい。4本ともダウンロードに会員登録や申込フォームは不要です。2026年8月20日時点で、当サイトが実際に4本すべてのPDFを取得できたことを確認しています。
Q. 社内研修で配るとき、出典はどう書けばいいですか?
A. 総務省の記載例は「出典:総務省ホームページ (当該ページのURL)」です。編集・加工して使う場合は、出典とは別に「編集・加工等を行ったこと」を明記する必要があります(デジタル庁の教材は主体の記載も必要です)。
Q. スライドを自社向けに書き換えてもいいですか?
A. 教材ごとに違います。総務省の教材は「講座の実施時間や進め方などに応じて内容を編集していただけます」とされていますが、使用前の連絡が前提です。文部科学省の教材は翻案・商用利用まで自由です。AI事業者ガイドラインとデジタル庁の教材は、出典と加工した旨の記載が条件になります。
Q. PowerPointで配られている教材はどれですか?
A. 今回調べた4本のうち、総務省の1本だけです。他の3本はPDFのみで配布されています。
Q. AI事業者ガイドラインは何ページですか?
A. 当サイトでは確認できませんでした。PDFの内部形式(オブジェクトストリーム圧縮)のため、ページ数を数える通常の方法では取得できませんでした。研修の分量に収まるかは、ダウンロードして自分の目で確かめてください。
まとめ
- 公的機関の無料教材は、今回調べた範囲では4本です。4本ともダウンロードに会員登録や申込は不要でした。
- 今回調べた4本のうち、PowerPoint形式でそのまま研修スライドに使えるのは総務省の教材だけです。他の3本はPDFのみです。
- この4本の中では、総務省の教材だけが、使用前に連絡してくださいと求めています。他の3本は各省サイト共通の利用規約の範囲で、出典を書けば複製・翻案できます。
- 文部科学省の教材は、4本の中でいちばん自由度が高く、CC BY互換で商用利用も可能です。
- 無料で置いてあることと、社内に配ってよいことは別です。配る前に、必ず配布元のページをもう一度開いて確認してください。
今日やることは1つだけです。研修に使う教材を決めたら、その教材の配布ページと利用規約ページを開いて、この記事に書いた条件が今も変わっていないかを確認してください。
出典
- 総務省「生成AIはじめの一歩~生成AIの入門的な使い方と注意点~」配布ページ(分量・形式・使用前の連絡についての記載・2026年8月20日確認)
- 文部科学省「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン」Ver.2.0(PDF)(分量の実測・2026年8月20日確認)
- 文部科学省ウェブサイト利用規約(複製・翻案・商用利用が自由であること、CC BY互換であることの記載・2026年8月20日確認)
- AI事業者ガイドライン(第1.1版)(PDF・総務省配布分)(2026年8月20日確認)
- AI事業者ガイドライン(第1.1版)(PDF・経済産業省配布分)(発行元・公表日の記載・2026年8月20日確認)
- 総務省ウェブサイト著作権ページ(公共データ利用規約(第1.0版)に準拠する旨の記載・2026年8月20日確認)
- 経済産業省ウェブサイト利用規約(公共データ利用規約(第1.0版)に準拠する旨の記載・2026年8月20日確認)
- デジタル庁 DS-920「行政の進化と革新のための生成AIの調達・利活用に係るガイドライン」(PDF)(分量の実測・公表日の記載・2026年8月20日確認)
- デジタル庁コピーライトポリシー(出典記載・編集加工した旨の明記についての記載・2026年8月20日確認)
なお、当サイトはこれらの教材を使って生成AI研修を実施したことはありません。この記事は、上記の公式ページとPDFを実際に開いて確認できた事実だけをもとに構成しています。


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